サウナスーツに要注意、体温上げても脂肪は燃えない

 それでも、部分やせを望む人は多い。そして、その部分を積極的に動かすと、その結果として「筋肉は強くなりますね」と中野さん。しかし、その上についた脂肪はそのまま。見た目は、より太った印象になりやすいのだ

 また、体脂肪は脂なのだから、体温を高くすれば手っ取り早く溶け出してエネルギーとして使われ、減っていくという考え方も、大きな間違えだ

 「未だに、通気性のないウエアで走ったり、ウォーキングしたりしている人を見かけますが、あれは体を壊す原因を作っているだけです。逆に、体温を上げ過ぎてしまうと、脂肪燃焼の速度が遅くなるといわれています。脂肪を分解したり、利用したりする酵素の働きが悪くなるからです。体温が1~2℃度上がるとリパーゼという脂肪を分解する酵素が一番よく働くのですが、3~4℃上がると機能が低下するとされています。いかに体温を上げずに運動するかが重要なんです」(中野さん)

 つまり、いわゆるサウナスーツの脂肪燃焼効果は疑わしいということだ。これを着用してジョギングなどをすれば大量の汗が出て、いかにも“運動をしたぞ!”という実感が得られる。しかも、確かに体重は減る。しかしその減量分は、体内の水分が失われただけで、実際に脂肪が燃焼されたのではない。脱水状態を招きやすく、それだけでも危険なのに、さらに血液が濃くなって血栓ができやすくなり、脳梗塞や心臓の障害で命の危険を招くこともあるのだ。

 「ボクサーが減量のためにサウナスーツを使用するのは、計量をパスするために最後の数百、数十グラムの水分を筋肉から絞り出すため。特に軽いクラスの選手は究極まで体脂肪を減らしているので、あとは水分を出すしか方法がないからです」(中野さん)

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