運動後や就寝前には静的ストレッチでクーリングダウン

 しかし中野さんは、静的ストレッチを全面的に否定するわけではない。

 「運動後やお風呂上がりに静的ストレッチを行うのは、とても効果的です。筋肉を長く伸ばしてあげることで、筋肉の柔軟性が上がります。筋肉を伸ばすのは、温度が上がって細胞の粘性が低くなっている時が最適です。運動後や入浴後に加えて、湯船に入っている最中でもいいですね。関節が硬い人は、筋肉が緊張して伸びない状態になっています。血行が悪く、疲れやすくなりますが、周辺の筋肉を静的ストレッチで引き伸ばせば、その状態を解消できます」(中野さん)

 筋肉が大きな力を出すのは収縮する時なので、運動後の筋肉は縮んで短くなっている。この状態から静的ストレッチを行って正常な長さに戻すことによって、体がアイドリング状態からクーリングダウンし、興奮状態を治めてくれる。就寝前にも太ももや背中など、大きな筋肉の軽い静的ストレッチを行うと、この作用が働き、副交感神経が優位になってくる。寝つきが良くなって、疲れが取れやすいという効果も期待できるのだ。

 運動や仕事前には“動的(ダイナミック)ストレッチ”、運動後や風呂上がり、寝る前には“静的(スタティック)ストレッチと使い分けて、健やかな体を保っていこうではないか。

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 1971年生まれ。日本では数少ない肉体面と精神面の両方を指導できるトレーナー。卓球の福原愛選手など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に「青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ」(徳間書店)、「世界一やせる走り方」(サンマーク出版)など多数。