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 また、ウォームアップで筋肉を温め、関節の動きを良くして可動域を広げなければ、ケガの原因にもなる。そのために必要なのは、柔軟体操やアキレス腱伸ばしなどの「静的ストレッチ」ではなく、腕や脚をダイナミックに動かす「動的ストレッチ」だ(詳しくは「アキレス腱伸ばしは準備運動にならない!?」を参照)。

 サッカー選手が試合前に隊列を組んで、ステップを踏みながら肩や股関節を大きく回したりしている姿を見たことがある人もいるだろう。あれがいわゆる「ブラジル体操」で、動的ストレッチの一種だ。こうした動的ストレッチを行うと、心拍数が上がって血流が良くなり、関節の可動域が広がっていく。

サッカーの試合前には、選手が股関節を中心に脚を回したり、肩甲骨を中心に腕を回すような動的ストレッチでウォームアップする様子が見られる。(c)Oleksandr Prykhodko-123RF

まずはウォーキングから始め、スピードを上げていく

 ただ、健康のためにランニングをしているという人の場合、スポーツ選手のような本格的なウォームアップをする必要はない。

 「例えば、いつも同じ公園で走っているのであれば、そこにたどり着くまでをウォームアップと考えてもいいでしょう。まず、家を出たら、ウォーキングを始める。そして、ウォーキングのスピードを少しずつ上げ、それから軽いジョギングに移行し、公園に着いたら練習を開始すればいいのです」(中野さん)

 ウォームアップがしっかりできると、血液量が十分になり、走っていても「キツイ」という感覚はあまりしなくなるという。

 「どのくらいウォームアップをすれば十分なのかは、個人差があり、またその日の調子によっても変わってきます。自分で調整しながら『よし、もう十分だぞ』という感覚がつかめるよう、注意してウォームアップに取り組んでみましょう」(中野さん)

 自分の体の声に耳を傾け、十分なウォームアップができるようになると、走りの“質”が変わり、練習が楽しくなる。ぜひ、ウォームアップを意識して行い、自己ベスト記録の更新を狙おう。

[ 日経Gooday 2018年11月21日付の記事を転載]

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
スポーツモチベーションCLUB100技術責任者/PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん フィジカルを強化することで競技力向上や怪我予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。元卓球選手の福原愛さんやバドミントンの藤井瑞希選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。東京・神楽坂の会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB 100」の技術責任者を務める。『世界一伸びるストレッチ』(サンマーク出版)、『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』(徳間書店)などベストセラー多数。最新刊は『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社)。