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本当に体調が悪いのかどうかはウォームアップで分かる

 本番が近づくにつれ、選手はプレッシャーを感じるようになり、それがストレス源となって、「体調が悪い」と錯覚するようになる。アスリートでなくても、仕事などで大きなプレッシャーがあれば、同じことが起こり得るのだ。

 それでは、本当に体調が悪い場合と、ストレスでそう錯覚している場合と、どのようにして見分ければいいのだろうか?

 「見分けるには、ウォームアップ、つまり準備運動をしてみるといいでしょう。ウォームアップをしても体の重さがとれないようであれば、本当に体調が悪いのかもしれません」(中野さん)

中野ジェームズ修一さんの新刊『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP社、2018年10月18日発売)

 ウォームアップは、自分の体の状態を把握し、これから運動するために体の準備をするものだ。中野さんによると、トップ選手ほどウォームアップの重要性をよく理解しているという。

 「例えば、試合中の運動量が少ないように見えるカーリングでも、選手はウォームアップでしっかり体をほぐし、筋肉を温めます。また、野球など競技時間が長いスポーツほどウォームアップの時間も長くなり、場合によっては1時間以上かけることもあります」(中野さん)

 アマチュアランナーでも、ウォームアップを10分行うだけで、ケガの予防になり、タイムにも良い影響があるという。「何より、走るときの気持ち良さが違います。ウォームアップは必ず行ってください」(中野さん)

血液量が十分でない状態で走ってもキツイだけ

 中野さんによると、ウォームアップで大切なのは、特に心臓、筋肉、関節の3つに運動の準備をさせることだという。

 ジョギングやランニングに限らず、運動では下半身の大きな筋肉を動かすことが多い。ということは、そこに大量の酸素と栄養を供給しなければ、パフォーマンスを発揮できないのだ。

 「酸素や栄養を運ぶのは血液です。運動中に必要な血液量は、安静時とは全く違います。大きな筋肉を動かすためには、大量の血液が必要です。ウォームアップせずにいきなり走り出した場合、少ない血液量で筋肉を動かさなければならないので、心拍数が一気に上昇し、キツイ状態になります。初心者はこれが苦しくて練習をやめてしまうんです」(中野さん)