体の健康を保ち、いつまでもパワフルに働くには、正しい運動と食事、そして休息のバランスが取れた生活が必要だ。そこで、著名なフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一さんに、遠回りしない、結果の出る健康術を紹介してもらおう。
 今回は、トレーニングにおける「ウォームアップ」の重要性と、「今日は調子が悪い」と思ったときにもよい結果が出る理由について。

「今日は体調が悪い」と思っても、走り出すと良いタイムが出ることも少なくない。(c)maridav-123RF
「今日は体調が悪い」と思っても、走り出すと良いタイムが出ることも少なくない。(c)maridav-123RF

 走るのに気持ちのいい季節になってきた。ダイエットや健康維持のためにジョギングやランニングをしている人も多いだろう。また、中には趣味としてマラソン大会に参加するために、日々、練習に励んでいる人もいるかもしれない。

 トレーニングや大会の前に、「今日は体調が悪いな。走るのをやめようかな」と思っていたのに、実際に走ってみると、調子が悪いどころかいつもより快調で、良いタイムが出た、という経験はないだろうか? フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さんによると、これは「実際によくあること」らしい。

「体が重い」と感じるのはストレスが原因だった!?

 「私が指導している選手に『今日の調子はどう?』と聞いて『体が重いです』という答えが返ってきたとしても、それですぐに練習量を減らすという判断を下すことはありません。自分では体調が悪いと思っても、実際にはそうではないことも多いからです」(中野さん)

 朝、目が覚めて「体が重い」と感じるのはどのような場合だろうか? 前日の疲れが残っている、風邪を引いた、あるいは体のどこかに張りやコリがある、といったケースだろうか。

 中野さんは、「そういった場合でも、疲労や風邪などではなく、ストレスが原因であることが意外に多いのです。仕事やプライベートで問題があってストレスを抱えていると、それが疲労や風邪のような症状、あるいは体の張りやコリとして表れることがあります。ただ、あくまでもそういう気がするというだけで、本当に体調が悪いわけではないのです」と説明する。

 「大会の前日に緊張で一睡もできなかったけれども、当日は自己ベストを更新できた、という例も本当にあります。一晩くらい眠れなくても、それまで十分に睡眠がとれていれば、体は問題ないことも多いのです」(中野さん)

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