「足腰は動くための器官であると同時に、体を建物に例えるなら基礎(土台)でもあります。背骨は基礎に打ち込まれた柱であり、体幹部は柱の周囲を固めるコンクリートでしょう。建物全体が安定するには、基礎が頑丈であることが重要です。そのために下半身の筋肉を強く、大きくする必要があるのです」(中野さん)

 加えて、下半身には大きくて太い筋肉が集中している。その量は、体の全筋肉量の50%以上とも60%以上ともいわれるほど。それゆえ、この部位を積極的に動かすことによって代謝と血行が良くなり、体脂肪の燃焼や生活習慣病の予防にも貢献することが期待できるのだ。

自宅でもできるロコモ予防エクササイズ

 それでは、どのようにして下半身を鍛えればいいのだろうか。

 「ジムに通ったほうがモチベーションを維持できるというのであれば、それでも構いません。初心者であれば、専門家に教えてもらうことで、狙った筋肉をきちんと鍛えることができます。その際、はっきりと『ロコモ予防がしたい』と伝えてください。知識と経験のあるトレーナーであれば、ダイエットやシェイプアップとは違ったメニューでプログラムを作成してくれます」(中野さん)

 ジムではなく一人でやりたいという人は、家でもできる自分の体重を使ったトレーニング、いわゆる“自重トレーニング”でも十分に筋肉を鍛えることができる。

 もし、足腰が衰えていたり、膝などに痛みを抱えているならば、まずは医師にトレーニングをしてもよいか確認し、OKならどの程度ならば行ってよいのか指示をもらおう。なるべく負荷が低いトレーニングから始めることになるが、強度は徐々に上げていくとよい。強度を上げずに同じことを繰り返していくと、体はその刺激に慣れてしまい、最小限の力で動作を行うようになり、効果が薄れるからだ。

 ここでは、中野さんが考えたロコモ予防に役立つ下半身強化のエクササイズを、強度の低い順に3つ紹介する。「全部やる必要はなく、どれか一つを選んで実行していただいても大丈夫です」(中野さん)

ロコモ予防(1)オープンスタンス キッチンスクワット

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1.

台所の作業台やテーブルなどに手を置いて、つま先を外側に向けて、両足を大股1歩分左右に開く。胸を開いて背中を伸ばし、椅子に腰掛けるように腰を落としていく。

2.

背中を伸ばしたまま、1、2、3、4と数えながら4秒かけて膝を伸ばしていく。立ち上がったら、同じ時間をかけて「1」の姿勢に戻していく。目標は20回×2セットだが、もっと少ない回数から始めてもOK。これはほかのエクササイズも同様だ。

(中野ジェームズ修一著『定年後が180度変わる 大人の運動』を基に作成)