ただウォーキングするだけでは予防にはならない

 ところが、ウォーキングやストレッチをただ続けていても、筋肉を増やすまでにはならない。「筋肉を増やすためには、ジョギングや、できればもう少し速く走るランニングまでやってほしいところです。また、ウォーキングだけでも負荷を上げる方法(関連記事「『運動強度』の足りないウォーキングはいくらやっても意味がなかった!」)がありますから、そういった工夫を取り入れてください」(中野さん)

 さらに中野さんは、「『ロコモ予防の運動はいつから始めればいいですか』という質問を受けることがありますが、常に『今が始めるチャンスです』と答えるようにしています。30代や40代だからまだいいかと安心していると、この先、さらに生活環境が便利になって、体を動かす機会がさらに減っていくかもしれませんよ」と言う。

 昔はここまで生活環境が便利ではなかったので、現在50代半ば以上の人は、若いころに体を多く動かす生活を送っていた。そのため、その年代の人には、筋肉の貯蓄、いわゆる“貯筋”があると中野さんは言う。

 「筋肉を一度しっかりつけておけば、10年先までその記憶が残っていて、筋トレを再開したときに通常よりも早く筋肥大が起こることがわかってきました(関連記事「過去の筋トレの成果は10年先まで残る?」)。これはマッスルメモリーと呼ばれていて、10年で落ちた筋肉でも、3年ほどで戻せることがあります」(中野さん)

 かつてしっかりと体を動かしていた人も、まったく運動をしてこなかった人も、ロコモ予防のためには筋肉に刺激が入るトレーニングが必要になる。次回、自宅でもできる具体的な方法を中野さんに解説してもらおう。

(イラスト:内山弘隆)

[ 日経Gooday 2018年6月19日付の記事を転載]

中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん
フィジカルトレーナー/米国スポーツ医学会認定運動生理学士
中野ジェームズ修一(なかの ジェームズ しゅういち)さん 1971年生まれ。日本では数少ない肉体面と精神面の両方を指導できるトレーナー。卓球の福原愛選手や青山学院大学駅伝部など日本のトップアスリートだけでなく、高齢の方の運動指導も行う「パーソナルトレーナー」として活躍。日本各地での講演も精力的に行っている。近著に『青トレ 青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』、『定年後が180度変わる 大人の運動』(ともに徳間書店)など多数。東京・神楽坂に自身が最高技術責任者を務める会員制パーソナルトレーニング施設「CLUB100」がある。