体の健康を保ち、いつまでもパワフルに働くには、正しい運動と食事、そして休息のバランスが取れた生活が必要だ。そこで、著名なフィジカルトレーナーである中野ジェームズ修一さんに、遠回りしない、結果の出る健康術を紹介してもらおう。
今回のテーマは「ロコモティブシンドローム(通称ロコモ、運動器症候群)」について。特に下半身の筋肉量の“貯筋”が、将来のロコモ予防につながるといわれているが、どのように取り組めばいいのだろうか。

「最近、何となく疲れやすくなった…」。そんなふうに感じるのを、単純に「年齢のせいで体力が落ちた」と考えてはいないだろうか。体力というのは、大きく筋力と心肺持久力に分けられる。特に、体脂肪が増えているのに筋力が落ちてくると、動くのがしんどくなって、疲れを感じやすくなる。
「筋力が衰えるのも、年齢のせいだから仕方ない」と考えがちだ。また、これまで運動などをやってこなかったのだから、今さら始めたところで、もう筋力は回復しないだろう、とあきらめてしまっている人もいるかもしれない。だが、「あきらめてはいけません。これまで運動とは無縁だった人でも、正しいトレーニングを行えば、筋肉は60代でも、70代や80代の方でも、必ず増やすことができるんです」と中野さんは言う。
「最近疲れやすくなった」のは老化が原因ではなかった!?
「みなさんが“老化”だと思い込んでいるもののほとんどは、年齢による衰えではありません。日常生活の中で体を動かさなくなっていること、つまり生活活動量の減少によって運動不足に陥っていることが原因なのです」(中野さん)
交通機関が発達し、駅構内やビルではエスカレーターやエレベーターでの上り下りが当たり前、加えて、この10年くらいの間に、買い物さえネットで頼めばすぐに届くようになり、歩くことも少なくなっている。
実際にそれを証明するデータがある。「健康日本21(第2次)」 (厚生労働省による「21世紀における第2次国民健康づくり運動」)によると、1997年と2009年のデータを比較すると、15歳以上の1日の歩数の平均値は、男女ともに約1000歩減少しているという。これは単純に計算すると、1日約10分の身体活動に相当する。生活活動量の低下は、確実に進んでいるのだ。
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