ビジネスで多忙を極める日本の30~40代は体力の低下が著しく、常に疲労感や倦怠感を感じている人も多い。パワフルに働き、50代以上になっても健康的な生活を維持するには、正しい運動、食事、休養を行うことが大切だ。そこで、著名トレーナーの中野ジェームズ修一氏が誤った健康常識を一刀両断。効率的で結果の出る、遠回りしないための健康術を紹介する。今回は、積極的に疲労感を抜く“アクティブリカバリー”について語ってもらった。
週末、十分に休んだはずなのに疲れが取れない、月曜朝の出社がつらい…。そんな慢性的な疲労を感じている人は多いだろう。そして、「歳をとって回復力が落ちているから」と諦めてしまっていないだろうか。でも、少し考えてほしい。あなたが過ごした週末の時間、本当に疲労回復のためになっていたのかと。体を休めたいからといつもより長く寝て、その後はテレビの前でDVDや番組を見ながらゴロゴロしていただけではなかったか?
「何もしない」が休養にならないこともある
「疲労は、休日にただひたすら、じっとしていれば抜けるというものではないのです」と中野さんは言う。
「映画鑑賞や読書といったことで静かに過ごすのも、“パッシブリカバリー”といって、休養になります。スポーツ後のアイシングや交代浴などもこの類ですね。ただし、平日に激しく働くビジネスパーソンであっても、休日はパッシブリカバリーに加えて、積極的に動いて疲労回復を図る“アクティブリカバリー”という方法を組み合わせると、疲労感が早く抜けることが経験的に分かっています」(中野さん)
パッシブリカバリーは、日本語にすると“受動的回復”であり、体を動かさない“守り”の方法。アクティブリカバリーは同じく“積極的回復”で、体を動かして疲労を解消する“攻め”の方法だ。中野さんがサポートするアスリートも、パッシブとアクティブの2つの方法で練習や試合後の疲労を軽減し、回復を早めるように工夫しているという。
「金曜日の夕方から車で温泉へ行き、日曜日夜に帰ってくるような休暇の取り方は、自然の中に行って癒やされているような感覚になりますが、休養にはなりませんね。緊張に強いられながら何時間も同じ姿勢で運転して宿について、仮にテニスなどをしたとしても、あとは温泉に浸かっているだけ。夜は高カロリーの食事と一緒にお酒を飲んで寝る、というパターンが多いのではないでしょうか。これだと体を使ってはいても、疲労を積み重ねているだけです」(中野さん)
確かに自然が豊かな温泉地などに行くと、それだけでリフレッシュされた気分にはなる。でも、日曜日の夕方や夜に自宅に戻ろうとすれば、途中は渋滞のストレス。例え列車の行き帰りでも、混雑や乗り換えで重たい荷物を持っての移動…。どちらにしても、短期間のリフレッシュ旅行は、帰り着いた時にストレスから疲労感を感じることが多い。
「行った先でウォーキングやトレッキングなどの目的がある場合はまだいいと思います。でも、単なる静養が目的であれば、わざわざ時間を使って疲れに行くよりも、自宅の近くで体を動かすほうが効果的なリカバリーになります」(中野さん)
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