いいでしょ、これ

 学ぶ姿勢は、若いころの話だけではない。元・朝日新聞記者で現在は武蔵野美術大学教授の松葉一清氏は、数年前に安藤氏の口から出たこんな言葉に、「変わらぬ安藤らしさ」を感じた。

松葉一清(まつば・かずきよ)武蔵野美術大学造形文化・美学美術史教授。1953年神戸市生まれ。1976年京都大学建築学科卒。朝日新聞特別編集委員などを経て、2008年から現職。主な著書に『安藤忠雄 建築と建築家』(2017年、鹿島出版会)など

「いいでしょ、これ」

 2011年に改修された大阪駅を見ての言葉だ。「大阪駅が改修されたので見に行こうと安藤さんに誘われ、2人でエスカレーターを延々と昇った。とてもうれしそうだった。かつての大阪の活力を彷彿とさせる新しい駅の姿を、自分の作品でもないのに東京から来た私にわざわざ案内してくれた」

 そして、「いいでしょ、これ」と照れもなくほめる。有名な建築家の設計というわけではない。設計が誰かなどは関係ないのだ。松葉氏は、安藤氏を「純粋に建築を探究する永遠の勉強家」と評する。

 実は筆者も似たような経験がある。数年前に安藤氏と東京で会ったときのことだ。「この後、銀座の百貨店の増築を見学に行く」と話したところ、「面白そうだから見に行こう」と言われ、一緒に30分ほど見学した。

 安藤氏の旺盛な探究心は、70歳を超えた今も変わっていない。

 建築専門誌「日経アーキテクチュア」は11月20日に、書籍『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』を発刊した。安藤氏について詳しく知りたくなった方はぜひご予約ください。

編者:日経アーキテクチュア
出版:日経BP社
価格:2916円(税込み)

厳選した「50の建築」と、独自取材による「50の証言」を通じて、安藤忠雄氏の約50年に及ぶ活動と人物像を浮き彫りにする。大きな反響を呼んだ日経アーキテクチュア誌・安藤忠雄特集でのロングインタビューも収録。数ある関連書籍のなかでも「決定版」といえる1冊。