
安藤氏が東京大学教授を務めていた時代の教え子の1人で、建築家の末光弘和氏は、“恩師”のこんな言葉が胸に残っている。
「20代はとにかく経験を買え。20代で得た経験は30代の馬力になる」
安藤氏が東京大学の教授に着任したのは1997年、末光氏が学部3年生のときだった。翌年、安藤氏はレンゾ・ピアノやジャン・ヌーヴェル、フランク・ゲーリーといった海外の建築家を招き、生の声を学生に聞かせるという連続講演会を企画した(この講演は後に書籍『建築家たちの20代』に収録される)。若いうちに「本物」「一流」に触れること──安藤流の学び方を東大で実践したとも言える。
「安藤さんを含めてこれが世界の第一線で活躍する建築家なのだと肌で感じた」。末光氏はこう振り返る。この講義は末光氏以外の学生にも大きな影響を与え、現在活躍する多数の若手設計者を育てた。
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