日経ビジネス11月7日号では、特集「糖質制限パニック」を掲載している。特集内では、日本各地に広がる糖質制限のブームに伴い、自治体や企業などが大わらわとなる状況をレポートしている。糖質制限の本格的な拡大は、見方を変えると、実は1万年ぶりに起こった「食」の大転換とも言える。本誌特集では、こうした地殻変動に企業がどう備えるべきかを詳報した。今回は、いち早く糖質を気にする消費者の心を掴んで成功している企業の事例を紹介する。

 「糖質制限を意識する消費者はごく一部、ウチとは関係ない」――。こうした固定観念に捉われる企業が多い中で、いち早く糖質を気にする消費者を取り込むことで成果をあげている企業がある。その1つがペッパーフードサービスだ。同社が展開するステーキ店「いきなり!ステーキ」は最初の店がオープンしてから3年も経たない2016年10月末時点で100店以上を展開。急成長を遂げていることで知られている。

 「いきなり!ステーキ」では昨年11月からランチタイムに提供するステーキとライスのセット(CABワイルドステーキのセットで1350円)で、ライス無しを注文すると100円値引きをするサービスを実施。また直営店舗では、付け合わせのトウモロコシをブロッコリーやインゲンに変更できるようにもした。糖質制限を実践する来店客への配慮からだ。その結果、ダイエットに関心の高い人たちを中心にSNS(交流サイト)上でその取り組みを絶賛された。

 「当店でも使う赤身肉には健康に良いというイメージが元々ある。それに加えてダイエットでも使われていることが知られ、ヘルシーな店というブランドが高まった。その結果、シニア層の利用も増えている」(ペッパーフードサービス)。

ステーキを食べて糖質制限

 きっかけは糖質制限を実践していると思われるお客からの要望だった。「いきなり!ステーキ」ではランチタイム以外はステーキとライスが別売りになっているが、ランチタイムにセットメニューを頼んだ時にライスを残しても価格は変わらないため、損をした気持ちになるという声が寄せられていたことだった。「糖質制限を実践するために利用していただくというのは、これまで考えられなかった店の用途で時代の変化を感じている」とペッパーフードサービスの広報担当者は話す。

 肉の量り売りがコンセプトの「いきなり!ステーキ」では、350グラム前後のステーキを注文するお客が多く、ダイエットのために同店でステーキだけを食べるお客は珍しくない。今でこそ、店側も把握しているが当初は想定外の利用動機だったという。