ご飯やパンなどの糖質が多く含まれる食品を抑える糖質制限。興味を持つ人が増えるなか、正しい糖質制限を実践しようにもなかなか環境が整わない職種もある。その代表例が深夜勤務が多い職場だ。これらの職業は治安や利便性向上には欠かせない。実践者の体調がおかしくなれば、現場の安全性やサービス低下といった影響が出てしまう。

 間違えた糖質制限をせざるを得ない主な原因のひとつは不規則な勤務体系だ。決まった時間に食事を摂れるとは限らない職場。事件がいつ起こるか分からない警察官もその代表例である。

 ただメタボリックシンドロームの警察官が多いと犯人を追跡できず捜査活動に影響を及ぼし、地域の安全が揺るぎかねない。

 こうした危機感を抱いて対策に乗り出しているのが埼玉県警だ。体格指数(BMI)が25%以上の肥満職員を対象に活動量計を配布し、意識改革を促している。

 交番で働く警察官は勤務が不規則で食生活が乱れがちだ。交番に配属されている警察官は24時間勤務し、その後2日間休みとなる。当然勤務中に休憩時間は確保されているものの、事件が発生すると現場へ急行しなければならない。「時間もまちまちで、牛丼といった早く食べられるものを一気に食べてしまう。ご飯は早く食べることが体に染み込んでいる」(厚生課)。

 警察学校を卒業して以来、この食生活が続いている職員が多い。「柔道や剣道の経験者は多いが、若い頃からの不摂生には勝てない。犯人の追跡や現場への急行に支障があっては困る」(厚生課)。

 しかも埼玉県警は警察官一人あたりが受け持つ市民数が日本でも屈指の多さだ。つまり人手不足に陥っている。不健康な職場だと認識されてしまうとさらに確保が難しくなる可能性がある。

 大きな危機感を感じた埼玉県警は活動量計を配布し、自分の歩行速度や歩数などを管理するようにした。2014年度からこの取り組みを開始し、BMI30以上の職員の平均体重が1.3Kg減った。BMI25%以上の職員が全国平均(36.3%)よりもわずかに下回るなど(36.2%)成果が出つつある。

 今年からは脂肪の燃焼効率を高めるために体幹トレーニングを取り入れたり、保健師や管理栄養士の指導によって意識改革に取り組んだりもしている。「不規則な勤務だが体が資本。安全、安心な街づくりのために体づくりを指導していきたい」(厚生課)。

深夜帯に営業している店の料理には少なからず糖質が含まれている。写真はイメージ(写真:菅野勝男)