糖質制限中は、どのような食生活を送っていたのでしょう。

岡藤:糖質制限の間は、炭水化物を控える代わりに、肉を食べていました。

 ある時、ホテルの会合で、うちの会長らと一緒に食事をしたんです。会長たちには松花堂弁当が出てきたけれど、僕の食事はなかなか出てこない。しばらく待っていたら、鉄板に肉がジューッと登場した。ホテルのスタッフは、僕が糖質制限していることなんか知らんから、「商社の社長はすごいな。昼からステーキ200gや」とびっくりしたと思うわ(笑)。

 

 普段は、昼は会社の食堂でサラダとみそ汁、豆腐とかをちょっとだけ。メーンディッシュを食べる時も、豚か鶏を選んで、ご飯はなし。これまでは日本酒とビールが好きだったけれど、それも一切やめてワインにしています。

 今でも朝や昼は炭水化物を食べないけれど、夜は、例えばふぐ雑炊を最後に少しだけ食べるとか、スパゲティだったら3種類のうち1種類だけ食べるとか、工夫をしています。ゴルフに行く時は朝は食べないと元気が出ない。そんな時はトーストを半分だけ食べたりしています。

 食事の順番や、食に対する思いも変わりました。野菜を先に食べるようにしているとか。糖質の低いふすまパンも食べているけれど、あの原料は小麦の外皮だから、やっぱり普通のパンと比べるとおいしくないんだよな。ただ、ふすまパンに変えてから逆に、日本のパンは本当にうまいんだと思うようになったよ。

 トースト半分をふわふわに焼いてバターをつけて食べるだけで、こんなにうまいものはないと感激するもん。今まで当たり前のように食べていたものが、「こんなにうまいんか」と実感できるようになって、食べる喜びを感じられるようになった。これはありがたいな。

血液検査の結果が激変

糖質制限を実践して、体調はどのように変わりましたか?

岡藤:去年11月に空腹時血糖値が140mg/dlぐらいあって、医者から食事療法をしなさいと言われた。それで「えらいこっちゃ」と1月末から糖質制限を始めたら、2月にはもうぽーんと下がって100mg/dl以下になった。空腹時血糖値の正常値が100mg/dl未満らしいから、あっという間に正常に戻ったわけだ。

 尿酸値や中性脂肪も下がったし、今でも酒を飲んでいるけど、ワインに変えたからでしょうか、γ-GTPは40IU/Lぐらい。正常値が10~50IU/Lで、それまでは80~90だったのが正常になって、体重も68kgから62kgまで減ったよ。これはもうびっくりするぐらい、考えられないぐらいみんなものすごくよくなった。

 今までいろいろな薬を飲んだけど、なかなか良くならなかった数値が一発で改善した。びっくりしたよ。これで一気に糖質制限のファンになった。極端にやったらいかんとは思うけどね。僕自身は、最初の2カ月ぐらいの間は炭水化物を完全にやめて、数値が良くなると、それからは炭水化物も多少は取らないといかんのと違うかな、と思っています。

糖質制限によって頭がクリアになるとか集中力が高まるとか、そういった変化はありましたか。

岡藤:糖質制限の効果が、リーダーとしての仕事にどんな影響を与えるのかは正直、分かりません。ただそれでも、健康に不安がない方が明るく働けるじゃないですか。社員だって、リーダーがはつらつとしている方がええでしょ。リーダーたる者、糖質制限ぐらいせな。

 もちろん社員だって健康な方がいい。そう思って今年6月には伊藤忠健康憲章を制定しました。社員一人ひとりが「健康力」に責任を持って、会社がその取り組みを支援すると決めたんです。

 みんな、きっかけがないとなかなか自分の健康を見直すことができません。それでだらだらと今まで通りの生活を続けて、どんどん数値が悪くなっていく。悪いと分かっていてもどう改善すべきか分からんしね。きっかけが大事だと思っています。

 その点、糖質制限は簡単に始められるし、お客さんとの会話の糸口にもなる。実際、僕は最近、会食で席についたら最初にライザップの話をするんです。みなさん興味津々で聞いてきますよ。やっぱり健康については共通の悩みを抱えていますから、会話も弾みます。