五輪代表でも遠征のフライトはエコノミークラス

 五輪代表選手とはいえ、遠征時のフライトは選手もスタッフもエコノミークラス。今回のリオ五輪では、まずニューヨークまで12時間かけて飛び、そこからさらに12時間のフライトでの現地入り。巨体の選手たちにとって、長距離のフライトは窮屈極まりなく、エコノミークラス症候群も心配だ。それゆえ、「水分摂取に関しては、“飲み過ぎないように”というくらいで、制限はしませんでしたね」と岡田准教授。むくみが心配だからと、水分を摂らないのもまた問題なのだ。

 「今回、出発前に鈴木桂治強化コーチがチケットを見て“岡田先生、俺、真ん中の席ですよ、いや~参ったなぁ”と。100kg超級で活躍した選手ですから、未だにデカイわけですよ。鈴木さんの隣になる人は大変ですね、と言いながら自分のチケット見たら、隣はなんと私自身。いや~、フライト中、鈴木先生はもちろん、私も身動きが取れなかったですよ(笑)」(岡田准教授)

 柔道選手に限らずビジネスパーソンも、海外出張におけるエコノミークラスでの長時間のフライトはもちろん、普段デスクに座りっぱなしの状態で仕事を続けていると、むくみと同時に筋肉も凝り固まってしまう。つまり血流も滞りがちになる。その状態のままだと、知らない間に体全体のパフォーマンスが下がったままで頭の回転も鈍り、ベストの仕事ができなくなっているのだ。

機内では水分と塩分の取り過ぎに注意

 では、柔道日本代表の選手たちは、飛行機による10時間を超えるフライトの後でも体の調子を落とさないようにどうしていたのか。岡田准教授が柔道の日本代表選手たちに指導してきた方法を聞いていこう。

 「先ほども少し言いましたが、まず、むくみは体内の塩分と水分のバランスが崩れることで生じます。塩分が多くなると、浸透圧の関係で体内に水分が貯まりやすくなります。塩分摂取により水分が欲しくなるから水を多く飲んでしまい、体の水分が増えて脚がむくむのです。ですから、まずは塩分を控えること。そのためには、機内で提供される食事を低カロリーミールに変えてもらうことをお勧めします。カロリーが低いだけでなく、味付けも薄いので、塩分を抑えることができます。それに高タンパク、低脂肪の食事になっています。実際、今回のリオ五輪の直後には私自身のボディビルの大会もあったので、往復ともそうしてもらいました。日本の航空会社であれば、鶏の胸肉や白身魚など、結構良いものを出してくれますよ」(岡田准教授)

 また、炭水化物に含まれる糖質も、細胞内に水分を引き込みやすくする性質を持っている。低カロリーミールであれば、脂肪に加えて糖質も減らせるので、むくみの原因を最大限に軽減できる。こういった細かい生活改善も、今回のメダルラッシュを生んだ一つの要因なのだ。

 「残念ながらむくみが出てしまった場合の最初の対処は、マッサージをすることです。どこからやっていくかが大切で、うっ滞した水分を血流やリンパ管を通して押し戻すには、足の指先から揉みほぐしていかなければいけません。足指を一本ずつ、手指で包むようにして、ていねいに水や血液を押し戻すようなイメージで足のほうへ動かしていきます。そして、ひじを足の裏に当て、親指の付け根、拇指球から足底筋、つまり土踏まずをかかとのほうに向けて押してほぐしていきます」(岡田准教授)

 これは理学療法士でもある岡田准教授だからこそ提案できる方法だ。