4年前のロンドン五輪、柔道男子日本代表のメダルはゼロ。柔道発祥国の面目は潰れ、男子柔道の危機とまで言われた。そして4年後の今年、リオデジャネイロ五輪。男子73㎏級の大野将平、90㎏級のベイカー茉秋の金メダルを筆頭に全7階級でメダルを獲得。復活と躍進を遂げたことは記憶に新しい。井上康生監督の元で総務コーチの任を務めた日本体育大学運動器外傷学研究室の岡田隆准教授に、ニッポン柔道の復活を支えた最新の科学的トレーニング法のエッセンスを聞いた。
ロンドン五輪後に男子柔道監督に就任した井上康生氏は、2000年シドニー五輪の金メダリスト。そして現役時代から今まで、日本の「柔道」と国際的スポーツである「JUDO」の違いを身をもって感じている一人でもある。
「そこで井上監督は、日本の柔道界の中だけではなく、世界で勝つために必要だと思われる世界中の格闘技の技法や筋肉トレーニングと、その理論を取り入れていきました」
こう教えてくれたのは、ロンドン五輪直後から井上氏の下でチームの一員となり、総務コーチの任を努めて来た、日本体育大学運動器外傷学研究室の岡田隆准教授だ。
海外選手たちは、母国の伝統的な格闘技や武術をベースに柔道選手となり、オリンピックに出場してくる。今や日本伝統の柔道技だけではなく、多彩な技法が織り込まれているのが国際スポーツの「JUDO」なのだ。
各格闘技からJUDOに応用できる技を抽出して身に付け、対策につなげるというのが井上監督の考え方だったのだろう。それに加え、体脂肪を減らして筋肉の増量によって体重を増やす。増やした筋肉が発揮するパワーとスピードで海外の選手に対抗する。この部分の任を受け持ったのが、岡田准教授だ。
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