甘みは糖質よりも果物で補給

 「選手も一般の方も食事のカロリーや栄養素は気にしても、間食を取り過ぎていることには気がつきにくいんです。オフィスで働く方だと、頭を使うので糖質、甘味が欲しくなるのはすごく分かります。でも、あまり気にしないで摂取していると、チリも積もれば山となるという感じで肥満の原因になっていることが多いんです。選手にも指導したことですが、一度だけでいいから3日間、甘味を一切絶ってみてください。飲み物は水や白湯、お茶にしてもらって、解禁日に好きなジュースを飲んでみるんです。すると、いつも以上に甘く感じるはずです。それで、日頃どれだけ糖分を取っていたかが分かるんです。そこから、飲むのをやめてとは言いませんが、摂取量を考えるようにしてもらえばいいと思います」(上村さん)

 舌が感じる甘味の感覚は、食べれば食べるほど鈍り、余計に欲しくなる。一度甘味を断つのは、味覚をリセットするため。甘味、糖質には一種の依存性や中毒性があると言われているので、そのクセを遮断する意味もあるのだ。また、1gの糖質は体内で3gの水と結合して体内に留まる性質を持っている。するとむくみが出やすくなり、喉の渇きを覚えて、さらに甘い飲み物が欲しくなる。その悪循環が体重を増やす原因である。

 「昼間に甘いものを食べ過ぎたなと思った時には、夕食時の炭水化物を減らしてください。また、どうしても甘味が欲しいという時には、リンゴやバナナ、イチゴなどの果物を食べるようにするといいでしょう。自然な果糖の甘みを感じられます。加えて、食物繊維やビタミン類、抗酸化物質が多いものもありますから、疲労解消にも役立ちます」(上村さん)

 体を動かすために必要な糖分。日本の柔道代表選手たちは、スイーツを食べるタイミングまでも最適化した“食事トレーニング”を行っていたのだ。我々一般人もその方法を参考にして、健康体を維持できる食生活をしていこう。

上村香久子(うえむら かくこ)さん
管理栄養士、調理師
上村香久子(うえむら かくこ)さん 独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンス事業スタッフ。産業給食会社、病院、スポーツ選手サポート関連会社を経て、現在に至る。リオデジャネイロ五輪では柔道男女日本代表選手の栄養サポートを行った。