夜食による脂肪蓄積を促す“肥満遺伝子”

 BMAL1というのは、誰もが細胞内に備えているたんぱく質の一種。一日の身体活動リズムを正常に調整する体内時計に関わっている。また、脂肪細胞の中で脂肪酸やコレステロールを合成したり、蓄積したりする働きを活性化させる。その間は脂肪の分解を抑制するので“肥満遺伝子”とも呼ばれている。

 「BMAL1は大体22時ごろから増加して活動が活発になり、ピークに達するのが2~4時とされています。つまり、寝ている間なんです。締めラーメンを食べて寝ると、BMAL1の働きも加わることで太りやすくなるのです。理想を言えば、22時前には飲食は全て終えてほしいですね。そうすればBMAL1の活動で体脂肪が増えることが少しは防げます」(上村さん)

 まるで悪者のようだが、元来は体に必要だから備えられている能力。人類が進化の過程で、飢餓に備えてエネルギーを蓄積するためにできた仕組みだ。この働きは自分の意思で制御することはできない。飲食するタイミングでコントロールするしかないのだ。

食事に気を使いつつ、たまにはブレイクデーを

 ここまでは、体づくりに気を使う日本代表選手たちでもついついやってしまう、飲み会でのNG集をお伝えした。それでは逆に理想的なおつまみの選び方とは? 上村さんに聞いた食事法を紹介しておこう。

 「ビジネスマンの方々の食事は、総じて炭水化物と脂質の取り過ぎです。一方で、たんぱく質と野菜が少ない。お昼に野菜を多くしたり、炭水化物を減らしたりすることは難しいでしょうから、せめて夜、居酒屋さんで飲む時には、過不足を補う工夫をしてください。例えば、野菜不足を補うために海藻サラダや野菜の煮付けを頼み、それにお刺身や焼き魚をお供に飲むようにしてください。そうすれば、食物繊維やミネラル類も取れますし、油脂を抑えながらたんぱく質も入れられます。そして締めは先ほど言ったように、場所を移動せずに居酒屋さんのメニューにある、焼きおにぎりやうどんなどにすればいいでしょう。つまり、理想の酒のおつまみは、野菜が多めで高たんぱく、低脂肪のものということになります」

 男女を問わずダイエットを目指すと、最初からキツク、ストイックな課題を自らに与える人が多い。するとそれがストレスとなって継続できず、失敗することが多いのだ。

 「ビジネスパーソンがお昼に食べてしまいがちのハンバーガーもタルタルソースが使われていたり、照り焼きソースにも砂糖が使われていたりします。でも私は、それが全部悪いとは言いません。週に1日くらいは、何でも好きなものを食べる“ブレイクデー”を入れれば、一般の方々の体重調整もうまくいくと思います。ストイックに制限する時期と緩やかに気をつけている期間、そしてブレイクする日をはっきり区別して、メリハリのある食生活をすることが長続きのコツです」(上村さん)

 ストイックに食事を制限する期間とブレイクデーのメリハリをつけ、ダイエット中であっても健康的に飲み、食べるようにしていこう。

上村香久子(うえむら かくこ)さん
管理栄養士、調理師
上村香久子(うえむら かくこ)さん 独立行政法人日本スポーツ振興センター ハイパフォーマンス事業スタッフ。産業給食会社、病院、スポーツ選手サポート関連会社を経て、現在に至る。リオデジャネイロ五輪では柔道男女日本代表選手の栄養サポートを行った。