筋力アップにはカルシウム摂取も忘れずに

 筋力アップに必要なのは、たんぱく質と炭水化物だけではない。「トレーニングと食事の組み合わせで筋肉をつけて体重を増やしてくる選手は、エネルギーになる炭水化物とたんぱく質、そしてカルシウムを確実に確保しています」と上村さん。筋量が増えにくい選手にこの話を伝えたら、「そういえば、最近は牛乳もヨーグルトも食べていない」「骨ごと食べられる、ワカサギやシシャモを食べていない」と納得。「そうしたら、翌日の食事に登場したシシャモを、選手たちが我先にと食べていたんですよ(笑)」(上村さん)。

 選手たちは、“強くなれる”ということが分かるとすぐに飛びつくのである。体を支えているのは骨。重たい筋肉を体にまとうのであれば、土台もしっかり作らなければいけない。「骨は、たんぱく質でできた網目状の構造の上に、カルシウムが沈着してできています」(上村さん)。このためカルシウムの摂取も重要なのだ。

柔道男子日本代表の合宿で提供される食事例
柔道男子日本代表の合宿で提供される食事例
メイン料理は、脂を控えた食品、調理方法を選び、体の代謝を助けるビタミン、ミネラルが豊富な野菜を組み合わせている。「副菜(煮物、和え物などの小鉢)は、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、よく噛めるように、緑黄色野菜と海そう類を多く使用しました」と上村さん。味付けは、醤油ばかりに偏らないように様々な味付けにするなど、飽きない工夫もしている。「果物は、ストレスから体を守るホルモンの合成に関わるビタミンCが豊富な種類を選びました」(上村さん) (写真提供:日本スポーツ振興センター)

 「カルシウムは毎日、決まった量が失われています。その分を補ってあげないと、筋肉は増やせません。また、イライラしやすい、緊張しやすい選手はカルシウムが不足している傾向があります。ですから食事のバランスが大切なんですが、PFCバランス(たんぱく質と脂質、炭水化物の割合)について話しても混乱するだけですから、おおよその目安を伝えました」(上村さん)

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 食事バランスを考えるうえの目安として伝えたのが上の表だ。では、男子柔道日本代表選手の食事法を基にすると、一般のスポーツ愛好家は普段からどんな食事の取り方をしたらいいのだろうか。