しかし中ロ関係もまた、呉越同舟である。本質的にナショナリストのプーチン大統領は、改革開放政策で国際金融資本(ウォール街)と親密な関係を保ってきた中国共産党政権より、米国のトランプ大統領や安倍首相のほうとウマが合う。また、不況に苦しむ中国東北地方の1億人が、職を求めて極東ロシアへ流れ込む移民問題も座視できない。バイカル湖以東の極東ロシアの人口は千葉県とほぼ同じであり、人口圧力で完全に負けている。

 中国との関係強化は、ヒト・モノ・カネの自由な往来を要求する。水が高きから低きに流れるように、極東ロシアにおいて中国系移民が人口の多数を占めるようになる。いずれ彼らは中国への帰属を要求するようになるだろう。プーチン大統領はこれを拒否できない。なぜならクリミア併合で自身がとった手法だからだ。日本との関係では、このような危険はない。

 安倍政権の登場により、日ロ関係が激変した。安倍・プーチン会談は20余回を重ね、安倍首相はプーチン大統領の最も親密な外国首脳の一人となった。安倍外交の目的は、中ロ間に楔を打ち込むことにある。

 プーチン大統領の任期は2024年までだが、安倍首相の任期は21年9月まで。タイムリミットは迫っている。安倍・プーチンの蜜月関係が終われば、領土交渉は再び振り出しに戻るだろう。日本の対米依存と中国のロシア接近という「現状」がだらだら続くことになる。

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