企業や医療施設内への出店を増やしている理由は。

目黒:クローズド(閉ざされた)なマーケットというのは、外的な要因に左右されづらいからです。公道沿いの一般的な店舗ですと、せっかく加盟店オーナーさんが出店しても、近くに競合店が出れば売り上げが落ちます。競合の動向はなかなか読めませんので、開店時に収益モデルを予測しづらいんです。

施設内なら、たとえば同じ病院のなかに2店目が開業することは考えにくい、ということですね。

目黒:はい。自店で一生懸命営業を続けていただければ、そのぶん確実に収益が上がるんです。外的要因が見通せないなかで加盟店オーナーさんに頑張ってもらうのは、言葉はちょっとあれですが、どうしてもバクチ的な側面がありますよね。そんなことにオーナーさんを巻き込むべきではないと思います。私たちにサポートし続けられるだけの体力がない、という事情もありますが。

社内コンビニの場合は24時間営業していない場合も多い。
社内コンビニの場合は24時間営業していない場合も多い。

損益分岐点が低く、立地の自由度高い

ポプラはチェーン本部と加盟店で収益を分け合う方法が特徴的です。大手チェーンが粗利の一定割合を徴収している(詳細は「コンビニ、激しすぎる出店競争の代償」記事内の「フランチャイズチェーン契約の仕組み」の項を参照)のに対し、ポプラは売上高の3%を徴収する仕組みです。

目黒:もともとは創業者が40年も前、店舗を増やしてのれん分けするときに「我々ばかりが儲かってもしょうがないんじゃけえ、しかしタダでやらせてやるわけにもいかない」といって、特に深く考えることなくロイヤルティーを「売上高の3%」と決めたのが始まりなんです。

そのとき「5%」に決めていたら、今も「5%」だったかもしれません。

目黒:そうなんですよ。5%だったら、ちょっと楽になっていたんですけど。

契約形態によって異なる……というのは承知の上ですが、大手チェーンと比べると、ポプラのロイヤルティーはどれくらいの水準なのでしょうか。

目黒:額自体でいうと、3分の1から2分の1という形でしょうか。圧倒的に安いですよね。加盟店オーナーさんにとってはコンビニ事業の損益分岐点が低いことになります。さきほどオフィスビルや医療施設内などのクローズドなマーケットを攻めているという話をしましたが、こうした立地というのは、そこまで大きな売り上げがあるわけではありません。大手チェーンの加盟店としては出店が見込めない場所についても、ポプラなら相談に応じてくれる。そんな「都合の良いコンビニ」として認識してもらいたいです。

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