コンビニは掲げる看板こそ全国ブランドですが、実際に店舗を経営しているのはフランチャイズチェーン(FC)契約を結ぶ零細事業者です。

沢田:そうですね。

だからそれぞれの加盟店の採用コストは限られ、身を削るにも削りしろが小さい。人手不足や、激しい出店競争で加盟店が疲弊しているのは、このチェーン本部と加盟店というコンビニ独特の関係性が限界を迎えたからなのでは。

沢田:変えなきゃいけない。契約の形態とかそういう話ではなくて、考え方です。ファミマはおかげさまで約1万8000店という規模になりました。過去の経営陣が素晴らしかったからです。ただしここまで来ると地域ごとにそこそこ店がある。これまで本部の都合でばんばん出店してきたのですが、これからは加盟店の都合、地域の都合を考慮したうえで出店を考えなきゃいけない。

具体的には。

沢田:たぶん他チェーンはやってないと思いますが、もっと店舗と店舗で情報交換してもらいたい。たとえば人手不足についても「うちの店ではタイミングがあわず採用できなかったけれど、こんな素敵な人が応募してくれたよ、そちらの店でどう?」みたいなやり取りが出来るようにしたい。

 出店戦略についても、地域にある7〜8店舗の加盟店オーナーが集まって、セブンイレブンがどこにあってローソンがどこにあって、それに対してファミリーマートはどう攻めるのか。こっちはセーブして、代わりにあっちを攻めようとか、そういう話し合いをオープンに出来るようにしたい。

年1000店も2000店も開業する時代じゃない

どんな方法で実施するのですか。

沢田:今はまだ分かりません。制度設計はこれからです。とにかく僕はもうこれ以上激しい出店はしない、ということです。コンビニ業界は間違いなく飽和していて、もう年間で1000店も2000店も出店するような時代ではない。

 むだ撃ちみたいな出店はしない。質の高い出店しかしない。戦略的にセブンイレブンの牙城を攻めるとか、ローソンを攻めるとか、そういう出店はあるかもしれない。戦略的に、腹を決めて。ただし、そんなときは直営でやります。

(撮影:的野弘路)

これまでは店舗の土地と建物をチェーン本部が確保し、出店が決まった後に、地域のオーナーさんに経営を頼むようなケースもありました。

沢田:それは完全に本部の都合でやっているわけですよね。新店が当たりか外れかまだ分からないのに。何度も言いますが、地域の出店戦略を話し合うときは、必ずその地域の加盟店オーナーに参加してもらうようにしなければいけない。強烈にそう思っています。年度内くらいにそんな仕組みを整えます。

年度内というと時間もあまりありません。実現できますか。

沢田:まあ試行錯誤はあるかもしれません。やってみたら(本部にも加盟店オーナーにも)エゴが出てきて、いろんな問題が起きるかもしれない。でも、まずは試してみないと、どうなるか分からないじゃないですか。基本的に加盟店オーナーさんは賛同してくれると思う。

今後は大量出店しないとのことですが、現状の約1万8000店から店舗網は減っていくイメージなのでしょうか。

沢田:ビルド&スクラップで一旦は減りますよ。1万7500〜1万7600店くらいにはなります。ただ、それより減ることはありません。いい立地があれば今後も出店はします。ただ従来のように「とにかく新規出店しろ」という考え方は改めます。店舗開発のメンバーにも口うるさく言っています。

現在のファミマの店舗開発メンバーには、2011年以降の大量出店時代に汗を流してきた社員も多いはず。うまく心構えを変えることはできますか。

沢田:なんとか切り替えろ、と言ってますよ。頭が切り替わらないなら、あなたが担当を替わってくれ……そんな勢いで伝えています。