2016年9月にサークルKサンクスと統合し、店舗数でセブン-イレブン・ジャパンに次ぐ2位に躍り出たファミリーマート。統合と同時に就任した沢田貴司社長に、この1年間に注力してきた取り組みや、24時間営業、コンビニ市場の今後などについて聞いた。
沢田貴司(さわだ・たかし)氏
1981年伊藤忠商事入社。ファーストリテイリング副社長などを経て2005年リヴァンプ設立。16年9月にファミマ社長就任。好きな言葉は「感謝」。トライアスロンで体を鍛え、17年夏に店頭に並んだ「ファミチキ先輩」の等身大パネルでは自ら着ぐるみの中に入ってみせた。60歳。
(撮影:的野弘路)

社長に就任して以来、加盟店の負担軽減を優先事項に掲げてきました。最近では店員が客の年齢・性別を推定して登録するレジの「客層キー」を廃止しました。

沢田貴司氏(以下、沢田):原点は「体験」です。就任前に自分がアルバイトと同じように店頭に立ち、汗をかいていろいろな仕事をしてみました。で、こんな大変な仕事をやっているんだ、と実感したのです。

 就任後も、加盟店を300カ所以上まわっています。訪問時だけじゃなくて、加盟店のオーナーさん100人ぐらいとはLINEのアカウントを交換して、日々連絡を取り合っています。痛感したのが、現場の負担が危機的なまでに高まっている現実です。もう染み渡るように分かりますよね。特に人手不足は本当に深刻です。

就任前に店頭に立って現場を経験した(16年夏、東京都内のファミリーマート)

ボディーブローが効いてくる

沢田社長はファミマ入社前、小売業や外食産業の支援会社であるリヴァンプで代表を務めていました。さらにその前の1990年代後半からは、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングでも副社長を務めています。小売業の経験は長いはずですが、コンビニの現場における人手不足は予見していなかったのですか。

沢田:分からなかったですよね。リヴァンプで僕が携わらせてもらった案件って、(クリスピー・クリーム・ドーナツなど)ブランド力で人材をひきつける企業が多かったのです。労働力が不足する感覚はありませんでした。

 ユニクロ時代も同じです。社会問題として表面化しているのは最近ですよね。だからこそ、僕もファミマに来て現場に足を運んで話を聞いてみるまで、ここまで大変な事態になっているんだとは気づきませんでした。

 いま、現場ではスタッフが集まらず、仮に採用できても定着しないんです。かつ(最低賃金の上昇で)人件費も上がっている。派遣スタッフを入れたりして、店舗はなんとか持ちこたえているけど、ボディーブローとして間違いなく、じわじわと体力が落ちてきているのは分かります。

 だからもうとにかく全社を挙げて、店舗運営に関わる細々とした作業をシンプルにしなきゃいけない。だから客層キーをなくし、また宅配便の分厚い受け付けマニュアルも「ふざけるな、誰が読むんだ」と発破をかけて変えているんです。

店舗運営に要する作業の量を劇的に減らす目標を掲げています。

沢田:例えばPOP(店頭販促物)を1個取り付ける作業だって、差し込む紙と収容するケースの高さが同じではなかなか出し入れしづらいですよね。ちょっとだけサイズを変えれば格段に楽になるんですよ。本当ばかみたいな話なんだけど、そういうことが、これまでおざなりになっていた。これまでの経営者が悪かったとかじゃなくて、(エーエム・ピーエム・ジャパンやココストア、サークルKサンクスなどとの)統合による規模拡大を優先してきたツケが回ってきているんです。

 加盟店に10月、アンケートを配布し、店舗オペレーションに関する意見をぶわーっと出してもらいました。本部に届いたぶんから優先順位をつけて、どんどん実行していく段階にあります。今後も3カ月に1回のペースで実施します。