フランチャイズチェーン(FC)契約を結ぶ加盟店ではなく、直営店展開のほうが店舗のビルド&スクラップも商品展開もやりやすいのではないですか。

古屋:やっぱり地元をよく知っているのって、地元で育ち、地元で商売してきたフランチャイズオーナーさんなんですよ。その証拠に、我々は1号店からフランチャイズ出店ですから。

直営を増やすようなことは。

古屋:全然。まったく考えてないです。むしろ直営店は減らしていかなきゃいけない。

人口が減るなかで、店舗数は増えています。オーナーの確保も厳しいのでは。

古屋:商品展示会でオーナーさんと話していて嬉しいのが、みなさん息子さん娘さんがお店を継いでくれて、どんどん連れてきてくれるんですよ。すごくうれしい。酒屋さんだったお父さんがセブンイレブンに転換して一生懸命やってくださって、その背中を見ていて、一旦は「あんな大変なことやりたくない」と外に出ていってしまうかもしれない。それが、セブンイレブンはいま1店1店が成長していますから、戻ってきてくれているんですね。

 もちろんご子息が継がない場合でも、長年働いている社員さんに引き継ぐこともあります。代替わりはすごく順調。パートナーとしては心強いし、うれしい。

潜在需要を掘り起こす

セブンイレブンは消費者の変化を先取りし、独自の商品やサービスでコンビニ業界の歴史を形作ってきました。いま注目している消費者の変化はどんなものですか。

古屋:いっぱいありますよ。大切なのは「潜在需要の顕在化」だと思うんです。確実に存在するのに、まだ気づかれていない需要を掘り起こすということです。たとえばセブンカフェで提供しているいれたてコーヒーは、これまでドトールとかスターバックスで買っていた人が購入しているわけじゃないんです。一部はいるかもしれませんが、それよりは、これまでは普段外でコーヒーを飲まなかった方、例えばドライバーの方とか、それから結構お年寄りの方や、主婦に買われているんです。

 うちの女房なんて、以前は外出先でコーヒーを買う習慣はありませんでした。いまでは車で移動するときにはしょっちゅう飲んでいて、私がふと乗ると必ずこのカップが車内にあったりするんです。今まで外でコーヒーを飲まなかった人が飲むようになってくれているんですよね。

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(撮影:的野弘路)

今後はどんな商品に注力していくのですか。

古屋:スムージーもどんどんテストをしています。新しいものを作るのもそうですし、いまはお店の中で脇役的に、まだ目立たない商品もある。それらをどんどん主役に出していくという戦略もあります。電子レンジで温めるカップ麺とか、今年の秋はカップスープも強化していきたいです。健康は一つのキーワードではないかと思います。セブンイレブンはまだまだ成長し続けます。

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