深夜帯のコンビニでは、検品や品出し・清掃など、接客以外の作業も行われている――。この点も、チェーン本部からみた深夜営業継続の理由の一つだ。だがファミマの沢田貴司社長は「やってみないことには、本当に店舗のオペレーションが回らなくなるのかは分からない。『できない』ありきで結果を決めつけるのは思考停止だ」と強調。結果はどうであれ、まずは実験から始めることにした。

単なる「サービスの後退」なら業界衰退

 問題は、24時間営業をやめた場合に消費者にとっての利便性は損なわれてしまうこと。身近な店舗が深夜営業している便利さと安心感は大きい。「社会インフラ」として消費者の支持を得てきたコンビニが24時間営業を単純に縮小すれば、業界の衰退は免れない。

 そこでファミマは、店員不在の時間帯には店外に設置する自動販売機で商品を買えるようにする、いわば「実質24時間営業」という代替案も検討する。すでに神奈川県の一部店舗では、自販機設置に向けて土地所有者と交渉しているもようだ。

ファミマは現在、全体の95%が24時間営業している(撮影:的野弘路)
ファミマは現在、全体の95%が24時間営業している(撮影:的野弘路)

 将来的には米アマゾン・ドット・コムが米国で試験営業している「アマゾンGo」のようなレジなし店舗の実用化も視野に入れ、店内の全商品を店員不在でも買えるようにしたい考えだ。

 日本に登場してから40年あまり。業界全体では右肩上がりのように思えるコンビニも、加盟店の収益性は伸び悩む。売り場の担い手たちの苦境を放置すれば、遅かれ早かれ、消費者の生活に欠かせない「社会インフラ」は崩壊しかねない。

 これまで数々のイノベーションによって古い商慣習を打ち破り、消費者の支持を得てきたコンビニ。ファミマの新たな取り組みは、持続可能な事業モデルの構築に向けての重要な試金石となりそうだ。

加盟店の経営状況や、実際に24時間営業をやめたファミマ店舗の様子、コンビニ業界の革新の歴史などについて順次掲載します。
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