今年、15回目を迎える「日本イノベーター大賞」(主催:日経BP社、協賛:第一三共)の受賞者が決定した。日本イノベーター大賞は、日本の産業界で活躍する独創的な人材にスポットを当てることにより、日本に活力を与えようと2002年に創設。今年の受賞者は、大企業のエンジニアからベンチャーや老舗の経営者、大学教授、日米のトップクリエーターと、多彩な顔ぶれとなった。

大賞  市川和弘氏:セイコーエプソン ペーパーラボ事業推進プロジェクト部長
「事務用紙をオフィス内で再生する『ペーパーラボ』を開発」
優秀賞  阪根信一氏:セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社長
「洗濯物を自動で折りたたむ『ランドロイド』を開発」
優秀賞  中川淳氏:中川政七商店社長
「伝統工芸品をリデザインするなどして、地場産業を活性化」
特別賞  菅裕明氏:東京大学大学院 理学研究科化学専攻 生物有機化学教室 教授/ペプチドリーム社外取締役
「独自開発の『特殊ペプチド』で創薬のあり方を大きく変革」
ソフトパワー賞(共同受賞)  石原恒和氏 ポケモン 社長/ジョン・ハンケ氏:米ナイアンティックCEO
「スマホアプリ『ポケモンGO』を共同開発」

本日から、受賞者の素顔を順次、紹介していく。第1回は、ソフトパワー賞を受賞した、ポケモンの石原恒和社長と、米ナイアンティックのジョン・ハンケCEO(最高経営責任者)。両社はスマートフォンのゲームアプリ「ポケモンGO」を共同開発した。米ナイアンティックが開発した位置情報とAR(拡張現実)をベースに、世界中で親しまれてきた日本発のコンテンツ「ポケモン」が融合。世界中で社会現象となるほど大ヒットした。(2016年10月17日号・本誌スペシャルレポート「ポケモン石原社長が語る ポケモンGO成功の鍵、日米協業支えた絆」を再録)


<表彰式に読者の皆様を無料でご招待>
表彰式は11月16日(水)午後5時から東京都港区の「グランドプリンスホテル高輪」で開催いたします。観覧ご希望の方は、以下のURLからご応募いただけます。定員(200人)に達し次第、締め切らせていただきます。

http://business.nikkeibp.co.jp/innovators/

石原恒和(いしはら・つねかず)1957年生まれ。95年、クリーチャーズを創業し、任天堂やゲームフリークとポケットモンスター」を開発。ポケモン全作品のプロデューサー。98年ブランド管理などを手掛けるポケモンセンター(現ポケモン)を設立。(写真:陶山 勉)
ジョン・ハンケ(John Hanke)1966年生まれ。米グーグルで「グーグルマップ」など地図部門を担当。副社長を務める。2011年社内ベンチャーのナイアンティックを設立し、スマホゲーム「イングレス」を開発。2015年に独立して現職。(写真:Steve Jennings/Getty Images)

 「僕の中では去年の9月の発表で役割は半分終えたと思っています。あとは、現場で活躍された方が出た方がいいですから。あんまりその、社長が話してもつまらないじゃないですか」

 ポケモン(東京都港区)の石原恒和社長は、7月の「ポケモンGO」配信以降、メディアの前に姿を見せなかった理由をこう話す。しかし、石原社長なくして20年前に初代「ポケットモンスター(ポケモン)」が世に出ることもポケモンGOが生まれることもなかった。

 ポケモンGOが前人未踏の記録を次々と打ち立てたのは周知の通り。配信後約2カ月で5億ダウンロードを達成し、5億ドルもの収益を得た。

 その威力は桁違いだ。ゲームに関心がなかった層を呼び込み、課金に対するハードルを下げた結果、ゲームを中心とするアプリ業界全体が市場拡大の好機と沸いている。DOCOMO Digitalの調査によると、ポケモンGO配信以降、それまでのトップ4のゲームアプリの売上高は合計で10%伸びたという。

 そうしたモバイルアプリ全体にも影響を及ぼすほどのヒットは、石原社長の「慧眼」のたまものと言える。

 ポケモンGOは米グーグルのエンジニアたちが中心となって独立したナイアンティックというベンチャーが開発と配信を手掛ける。このベンチャーのメンバーを見いだし、開発に「GO」を出したのは石原社長に他ならない。

 その石原社長が今回、日経ビジネスの取材に応じ、日米の協業を成功に導いた「鍵」を自らの視点で語った。

 「取材をするなら、ぜひ野村君と一緒に」。まず石原社長が強調したのが、ナイアンティックでポケモンGOのプロダクトマネジャーを務める“日本人”、野村達雄氏の存在である。