ここまで紹介してきて、なぜアソビューがリクルートホールディングスと競合するのか、察しのいい読者はもうお分かりだろう。リクルートが1990年に立ち上げた「じゃらん」だ。開始時は旅行情報誌だったが、宿泊予約サイト「じゃらんnet」などでネット化を加速。国内事業の一翼を担う主力サービスとして続いてきた。

 じゃらんnetは近年、単純な宿泊予約だけでなく、体験に付加価値を持たせる関連サービスを強化。サイトを見れば、「女性にオススメの体験特集」などの特集が組まれ、ガラス細工作りやクルージングなど多くのプランが紹介されている。クーポンが使えるキャンペーンなども積極的に実施、顧客の取り込みに注力する。

 もちろん、じゃらん関連事業全体とアソビューを比べれば、事業のカバー領域やその規模はリクルートの方がまだ圧倒的に大きい。それでも、業界では両社はライバル関係との見方は少なくない。アソビューが急成長していることに加えて、コト消費という比較的新しい消費のテーマについて、どの企業が主役となれるかはまだ分からないためだ。

 リクルートOBの山野氏は、この状況についてどのように捉え、何を目指しているのだろうか。率直な意見を聞いてみた。

山野智久(やまの・ともひさ)氏
大学在学中に、累計30万部を発行するフリーペーパーを主宰。2007年リクルート入社。10年にリクルートを退社し、カタリズム(現アソビュー)設立。12年に体験型予約サイト「アソビュー」を開設

まず、山野さんにとってリクルートはどのような会社に見えているのですか。

山野智久氏(以下、山野):総論でいうと強い会社ですし、これからもどんどん強くなっていく可能性があると思います。海外での買収も含めて、資本的・経済的な体力は大きくなっていますし、グローバルカンパニーとして勝ち残っていけるのではないかと。そうした意味では非常に強い会社ですよね。

 ただ、人が魅力だったという観点では、会社が大きくなればなるほど、個々の業務は最適化されていきます。その最適化された業務に従事する社員は当然それに合わせて仕事をこなしていくから、ある種の個性やポテンシャルについては過去に比べて弱くなってしまうこともある。これは、リクルートに限らずあらゆる企業の宿命だとは思いますが。

 僕自身、2007年に入社しましたが、それは当時から感じていたことです。今は僕が在籍していた頃よりさらにその傾向は強いでしょうし、最適化されるビジネスパーソンが増えれば、特徴的な起業家を輩出してきたリクルートのあり方とは、異なった状況になっていくのかなというふうに見ています。