本原さんのトップマネジメントは強力に効いている。その上で、現場が創意工夫を凝らして、ユニットごとの最適化を進め、結果として業績が改善していくと。

本原:そうですね。だから、多分働いている方々も、強制感はなく快適なんだと思います。残念ながら、日本企業が買収したケースでは、ガチガチに管理するか、ほとんど手がつけられないか、両極になってしまうケースが多いのではないでしょうか。僕はよくゴルフに例えるのですが、明確なOBラインはあるけど、フェアウェイの中できちっと自由度はあるので、皆が快適に自主性を持ってサービスができていると考えています。

確固とした「方程式」があるから、失敗しないということでしょうか。

本原:方程式かというと、それもまた少し違っていて、柔軟性もやっぱり大事なんですよね。全部の買収が1つのパターンでうまくいくなら、誰でもできるわけですから(笑)。やっぱり、会社は色々なところがあって、その会社が置かれている環境や状況によってもどのように手を入れていくかは全然違います。

 僕が重要だと考えているのは、全てのタイプの人を受け入れる力が、経営側にあるかどうかです。その会社の社員や、あるいは課題だって、買収すれば全て財産。課題が多ければ多いほどいい。だって、それを解決しさえすれば、EBITDAは増えていくから。それを焦って拙速にやろうとすると、大きな「手術」で余計に傷めてしまうことが多々あります。買収先の財産を、1個の物差しで見ない。最大限に生かしてあげるにはどうしたらいいかを考える。それが大事だと思います。

江副さんは「ああなりたい」と思う人だった

今回取材している皆さんに聞いていることですが、最後に、江副浩正氏について伺いたいのですが。

本原:このリクルートの歴史の中で、江副さんが作ってきた、ユニーク性というのでしょうか。それはやはり、ダイバーシティーを最初から当然のように実現していたということですよね。本当にオープンな会社風土がないと、結果的に事業は良いものにならない。また、数字の透明性を高めて、皆が同じ数字を見ることができて、同じ課題と同じ方向に向かえるということ。

 こうしたことは、江副さんが作った、発明的な経営組織マネジメントの原点だと捉えています。これがずっと続けられているから、結果的にリクルートがリクルートであり続けているのではないかと思います。

 僕はリクルートでは、正式に入社する前にアルバイトとして働いていたんです。江副さんが話すのを聞く機会があったのはバイト時代を含めて約6年間でしたが、平易な言葉と方針を持って、フラットにフェアに会社を運営する経営者の典型だったと思います。本当に、「ああなりたい」と思うような人でしたね。