実際に買収してみて、想定外だったというケースはないですか。

本原:ないですね。それは事前に読み込んでいますから。世の中で、想定外だったということが多々起こっていることは分かりますが、僕らはどれくらいの手を打てば、どうなってくるのかということがほぼ予測できている。利益率を上げるためのノウハウを我々は持っているから、買収価格も正当化できるという理屈です。

買収先の経営については、どのようにマネジメントをしているのですか。

本原:僕らはよく、現地のオペレーションはそのままで、必要な分だけの経営ノウハウを入れるという表現をします。それは事実ですが、何もやっておらずただ任せるだけかというと、それも違う。あくまで、強烈なガバナンスを効かせているからこそ成功しているというのも正しいのです。

 どういうことかというと、買収した会社それぞれに取締役会があって、僕が全ての会社の会長に就いてCEO(最高経営責任者)をマネージします。会社の運営自体は委ねるわけですが、業績が出ない、あるいは方針に従ってくれない時に、適切に辞めてもらうスピードも早い。やはり、CEOが一番重要なわけですから。

買収先社員にはQ&Aで徹底的に説明

そうしたことも、これまでにはあったわけですね。

本原:それは、確かにありますね。本来そんなことはしたくないですよ。ただ、僕は無理なプランは作っていないし、我々の考えに沿って実直に運営してもらえれば成功するはず。一番大事なのは事業形態であり、適切な目標設定。それを適正にするから、実直にきちっとやってくれれば、必ず大丈夫だということなんです。

CEOをはじめ経営陣に対するマネジメントはそうだとして、現場社員にはどのようにリクルートの考え方や、ユニット経営への理解を浸透させるのですか。

本原:買収についてアナウンスしてからも含めて言いますと、僕自身が直接、すぐに現地のオフィス回りをします。全従業員の前で、リクルートとはなんぞや、僕らの経営はどういうことを志向しているか、本原はどういう人間かということを、オープンな場で延々とQ&Aで説明していきます。ここでは、ありとあらゆる質問に答えていきます。

 従業員は新しいオーナーを見たいわけですし、どのような考えの持ち主なのかをやっぱり知りたいわけですよ。そこで僕がサボらずに、きちんとQ&Aで対峙する。その場にはCEOも同席しますから、色々な質問が出る中で、経営方針のより細かい各論を理解していくこともできる。ここがまず大事ですね。

 それから、買収が完了した翌日からになりますが、CEOとCFO(最高財務責任者)への経営レクチャーを実施します。その後、国によって呼び方は違いますが、プレジデント、カントリーマネージャーの層に向けてレクチャーをする。そして3カ月後ぐらいのタイミングで、各ユニットのリーダークラスにレクチャーをする。

 この3段階の経営レクチャーを経て、「ユニット経営会議」という会議をもちます。それは各ユニットリーダーが僕に対してプレゼンをする場で、ユニットレベルでの経営方針を僕が確認する。そこにもCEOは同席しますから、どのようにしていけばユニットが回っていくか、このケースの時にはどのように動かすかというナレッジが、組織全体にたまっていくという流れです。