そこで、本原さんが実現している「ユニット経営」になるわけですが。分かりやすく説明していただくと、どのような経営手法なのですか。

本原:狭義のユニット経営というのは、それこそ色々な方々が、色々な形でやっておられることかもしれません。組織を小さく分けて、そこに権限を委譲して収支をしっかり見てもらうということですね。キャッシュが出て行って、いつ戻ってくるかということを、小さな単位ごとに見てもらう。だから自発的に最適化を求めていって、サービスが改善され収益が上がる。

 これは稲盛和夫さんも、言葉は違いますがそういう考え方でおられるかもしれないし、日本マクドナルドの藤田田さんも初期の頃はそうだったかもしれません。このユニット経営というのは、トップが強い意志で、リーダーシップを持ってやり切らないと、なかなか定着しない。縦割りの機能型でやろうと思っても、馴染まないというのが特徴かと思います。

 先ほど説明した人材派遣のビジネスの特徴に照らすと、地域や職種に応じて100個、200個と小さい組織を作って、需給バランスの良い、環境に適応したサービスのあり方を考えていくことが、結果的に成功すると捉えています。

重要なのは売上高ではなくEBITDA

ユニットは小さければ小さいほどいいのでしょうか。

本原:それは違いますね。あまりに小さ過ぎれば戦略は立てられませんし、ある程度の人数規模も必要です。経営というのはバランスですから、売上高としては、だいたい50億円ぐらい、最小で5億円程度のサイズ感でしょうか。人数でいえば、50人ぐらいの従業員を抱えたところに1人のリーダーがいるというのが目安ですね。ただ、我々は売上高を増やすことではなく、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)マージンの改善を第一の目標に置いています。

 なぜかというと、人材派遣事業というのは極めて労働集約型で、残念ながら利益を上げにくい事業なんです。僕も昔に求人広告事業に携わっていましたが、広告と派遣を比べると収益力が全く違う。きちんと収益の上がるビジネスであることを、内外に示したいということが原点にあります。

 だから、まずユニットごとに売り上げとコスト、利益の状況を見て、一時的に売り上げが落ちたとしても、きちんと利益が上がる部分にフォーカスして最適化していく。すると利益率が最初に上がってきて、同時にサービスのレベルも格段に向上します。最適化することで地域ごとのナレッジもたまるから、商圏の中での売り上げも上がってくる。

 ここまでで、損益分岐点自体は低いところにきているから、売り上げの拡大がさらに利益率を押し上げる効果が出てくる。リクルートではそれを実直にやり続けてきたし、2010年以降は海外でも同じようにやっている。十数年前は1000億円もなかった事業規模が、1兆円を超えるまでに育ったというのが現在です。

とはいえ、M&Aで子会社にした企業をどのように伸ばすか。この点は多くの日本企業が失敗しているわけですが、なぜ本原さんは成功しているのでしょう。

本原:買収では、会社自体をそれほど厳選しているわけではないです。ただ、僕の場合は、その会社のEBITDAがどれくらい出ているかは見えているので、だいたいこのあたりまではいけるだろうという計画を、まず作ってしまうんです。すると、投資の管理をしている部門が会社の売値については教えてくれますから、売主と合致する場合は買うということですね。