OMOレンジャーとして「出動」中の小野寺

 ソムリエの小野寺は赤のユニフォームを着て、宿泊客と街を歩く日々が始まった。

 レンジャーの一員になることは意外なくらい抵抗感がなかった。「気恥ずかしさ? それはない。ソムリエの根幹はサービスマン。ワインの知識を示すのでなく、お客様に楽しんでもらうことが大切だとずっと思ってきた。楽しんでもらうという点では、OMOレンジャーも同じ」と話す。正直に言えば、年齢の問題もあった。50代の小野寺は別のホテルなどに転職して一からスタートするにはやや自信がなかった。それならば、どう変わるのか、自分もそこに参加しよう。そんな気持ちになった。

 街案内をしていると、地元の人から「レンジャーだ」と声をかけられることがある。「意外と知られているな」と感じる小野寺は「インターネットの情報よりも深い情報がある!」と顧客が喜ぶ姿に楽しさを感じる。例えば、街案内をしながら人気の旭山動物園を訪問する予定があるとわかった顧客に「水色のバッグを持っていくといいですよ」とアドバイスする。これは動物の食事の時に飼育員が持ち歩くエサを入れたバケツの色に似ているため、動物が近づいて来るためだ。こうしたことはやはり地元に住むホテルスタッフの方がよく知っている。一方、あくまでもガイド役のため、お客が食事をする場合に同席はしても食事はしない。このため、雰囲気を守りながら顧客を楽しませることの難しさを感じることもある。

星野は久々にコンセプトづくりにじっくり参加(写真:栗原克己)

ブランド全体でもレンジャーを採用

 都市観光ホテルとして再スタートを切ったOMO7旭川にとって、課題は冬場の集客だ。旭山動物園などの観光地が近いこともあり、夏場の稼働率は9割を超えている。これに対して冬はインバウンドの多い2月を除くと6割台にとどまる。稼働率を引き上げるために、近隣にいくつもスキー場と連携し「都市で滞在してもらいながらスキーを楽しむ魅力」を打ち出す。もちろん、そのためにはOMOレンジャーの出番も増えていく。小野寺は、最近では他のスタッフにもどんどん声をかけて新たなOMOレンジャー育成をサポートする。

 OMOレンジャーは5月に開業のOMO5東京大塚(東京・豊島)にも開設。ブランドコンセプトの推進役としての役割を担う。新しいコンセプトのブランドが旭川発で動き出した。

 1階レストランのディナー廃止という思い切った判断からの一連の流れについて、「状況を打破するには大胆に向かうべきだと思う。一旦数字が落ちたりするかもしれないが、経営者にリスクをとる覚悟があれば、スタッフは皆やるべきことをやればいい」と星野は話す。

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