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星のやバリはバリ文化の中心地であるウブドの東側に位置している

 星野リゾートがバリで施設を運営するのにあたり、ポイントになるのが約100人いる現地スタッフの働き方だ。

 ほかのホテルや旅館はマネージャーが「指示する人」、スタッフが「指示される人」というケースが多い。これに対して、星野リゾートではフラットな組織づくりによって、社員が自分で考えて行動する場面が目立つ。また、ほかのホテルや旅館ではフロント、調理、清掃などの業務を分業で行うのが一般的だが、星野リゾートはさまざまな業務を一人のスタッフが兼務するマルチタスクで働く。

 バリでも星野リゾートはフラットな組織とマルチタスクを徹底する。開業にあたり、星野はスタッフにこう語りかけた。「フラットな組織文化とマルチタスクの働き方は競合がまねできない。世界に出るうえでポイントになる以上、この働き方をバリでもしっかり浸透させよう」

世界の高級リゾートがずらりとそろう

 バリにはフォーシーズンズ、ザ・リッツ・カールトン、アマンがそれぞれ2カ所あるなど、競合は世界の一流リゾートがずらりとそろう。星野リゾートがここで抜け出すには、ローカルのスタッフがエンパワーメントによって動き出せるかどうかがポイントになる。

 日本からは総支配人ら数人のスタッフが赴任。スタッフとのコミュニケーションは基本的に英語で行う。フラットな関係を定着させるため星野リゾートでは全社員が役職でなく「さん」付けで呼び合うが、バリでも日本語の「さん」をそのままつけて呼ぶ形を取り入れた。経営データを共有したうえで自由に議論する土壌をつくった。

 ほかのホテルで働いた経験を持つ現地スタッフは当初、星野リゾートの働き方に戸惑いがあった。フラットな組織文化に対して、現地のスタッフはマネージャーの指示を受けて実行する働き方に慣れていた。このため、「自分で考えること」自体に戸惑いがあった。