シングル利用で1泊3万円は高いという声もありました。

外志雄代表:一昨年は確かにそうした声がありましたね。ですが、今年はそこまで上がったことは一度もありません。

芙美子社長:そう、一度もない。

外志雄代表:人気のある場所で高くてもシングル利用で2万2000~2万3000円程度です。むしろ、3万円まで上げられれば、その方が嬉しいのですが最近はどんどんホテルが増えてきていますからね。それと民泊も増えています。需給関係が供給側のホテルにとって厳しくなっていますね。

 アパホテルはビジネス客を主たる顧客層としています。企業の管理職など上位5%のビジネスパーソンがターゲットです。多くの企業では管理職に対する出張時の宿泊料金の上限は高く設定していますよね。管理職は特に時間が重要ですから「値段が高くても、その日に泊まらなくてはならない」といったニーズは実際、多いです。

各ホテルの支配人はどのように値段設定をしているのですか。

外志雄代表:稼働率に単価を掛け合わせたRevPAR(レブパー)という指標があります。それを支配人の裁量によって最大化を目指します。ホテルは当日満室になればいい。1週間前に満室になっても、それは安く売ったから早く満室になっただけ。むしろ、宿泊の当日までに満室になるように値段を上げていければベストなんです。

 急に宿泊が必要になる人、緊急でカネよりも時間を買いたい人にとっては、値段は上がっていくが当日まで部屋を残しているうちのような方針のホテルもあってもいいのかなと思います。

 ただし、さきほども話したように表示価格(正規料金)の1.8倍を基準に上限を設定しています。支配人が判断しますが1.8倍は超えてはいけない。一方で下限ルールはありませんから極端に言えば1泊1000円でも設定が可能です。

 結果としてうちの稼働率はほぼ100%です。稼働率が高い日は高く売り、稼働率の低い日は安く売るからいつも100%になるんです。

 当社ではRevPAR重視の経営を続けています。

「宿泊の当日までに満室になるように値段を上げていければベスト」と話す元谷外志雄会長
「宿泊の当日までに満室になるように値段を上げていければベスト」と話す元谷外志雄会長

ポイントバックで顧客満足度を上げる

正規料金がシングルで1万7000円なら最高額は1.8倍の約3万円になります。一方、通常は1万円前後、閑散期は7000円などの値付けができる。値幅が大きくなるのは経営戦略ということですね。値段は支配人の経験で適時、変更するのですか。

外志雄代表:イールドマネジメントと呼ぶ航空会社が座席を効率よく販売するのと同様のシステムを導入しています。

芙美子社長:10年以上前から使っていますね。

外志雄代表:過去のデータに基づいて支配人が検証しています。最近はかなりの部分、自動化しています。正規料金は都度、基準を決めます。ホテル需要の高まりを背景に以前と比べてればずいぶん高くなりました。

確かに以前はシングル1泊で5000円~7000円で泊まれたイメージがあります。値段が上がった分、お客さんの満足度を高めるためにどのような対策をしていますか。

外志雄代表:1つは会員システムによるキャッシュバックですね。うちは会員で泊まる方が大半で、上位ステータスであるダイヤモンド会員ではその日に泊まった料金の11%分をポイント還元しています。時々、抽選で全額返金キャンペーンも実施しています。

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