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社長からの質問は「恐怖」

 対話やアンケートで挙がった課題や指摘は次の会で応えたり、改善したりしています。例えば、対話の中で私が質問することもあったのですが、「質問タイムが恐怖です」という声があり、次の会からはやめました。確かに、質問しようとして目を合わせると、急にメモを取り出す人も結構いたんですよね。質問をやめてみると、ちゃんと目が合って、前のめりの姿勢で聞いてくれるようになって、プレッシャーになっていたんだなということが分かりました(笑)。

 逆に、遠慮があって私に質問ができていない人もいるかもしれないと思い、希望者を募って、質問に答える会も実施してみたところ、思っていた以上に多くの人が参加してくれました。そうして対話を重ねていく中で、社員の姿勢も能動的になってきているのを感じています。今後も「もう十分だからやめてほしい」という声が出るまで、続けていきたいと思っています。

 人生100年時代といわれる今、定年退職に対する考え方が議論されていますよね。60歳を65歳まで引き上げたり、それ以上の年齢も検討されたり。ただ、私は戸籍上の年齢で区切ることには違和感があって、大切なのは「姿勢年齢」だと思っています。

 姿勢年齢とは、肉体的に健康な姿勢という意味もありますが、物事に対する姿勢ですね。前向きで、新しいことに挑戦する姿勢や、やりがいを持って働くためにインプットを怠らない姿勢などに、年齢は関係ありません。20代でも目標や覇気のない人もいれば、60代でも生き生きとして、積極的にチャレンジを続けている人もいます。私はこの姿勢年齢が若い人を雇用すべきだと考えていて、社員が心身ともに健康で、楽しくやりがいを持って働ける、若々しい姿勢年齢を維持していけるように、サポートを続けていきたいと思っています。もちろん、私自身もそうあるように努力していきますよ。

(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/写真:村田わかな)

[ 日経Gooday 2018年11月30日付の記事を転載]

田鎖智人(たくさり ともひと)さん
ジャパンネット銀行社長
田鎖智人(たくさり ともひと)さん 1972年生まれ。95年早稲田大学政治経済学部卒業後、日本信販(現三菱UFJニコス)を経て、2003年ヤフー入社。2006年ジャパンネット銀行との資本業務提携に伴い、同行社外取締役に就任。ヤフー セントラルサービスカンパニー 決済金融本部本部長などを経て、2018年2月から現職。