仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今月はディー・エヌ・エーの南場智子会長にご登場いただく。第1回目は、今年1月にCHO(Chief Health Officer、最高健康責任者)に就任した南場会長自身の健康法を紹介します。
CHO(最高健康責任者)として健康増進を旗振りしている立場ですが、私自身の生活に関して言えば、あまり褒められたものではありませんでした。以前は朝食抜きが当たり前、昼はランチミーティング、夜は会食と、土日も含め100%外食。親しい人の間では早食い、大食いで有名で、お酒も少量ですが毎日飲んでいました。
家庭ではオーガニック、会社ではカップ麺
そんな生活が大きく変わったのは2011年、夫の闘病がきっかけです。朝食を必ず取るようになり、料理に化学調味料は一切使わなくなりました。自宅で食べるときはまずサラダをたっぷり。野菜はオーガニックで、旬のものを選んでいます。以前は、何が旬かなんてまるで意識していなかったんですけどね。
当時、食生活に関する本をたくさん読みました。その中で、これと決めたバイブルが『がんに効く生活』。がんを患っている人に限らず、すべての人の健康に良い食事内容について書かれています。私自身はこの本を読んでから、有機野菜を食べる、トマトは熱して食べるといったことを実践しています。こうしたことのおかげか、食材の味に敏感になって、薄味でもすごくおいしいと感じるようになりました。
と言いながら、会社の部屋の棚にはカップ麺がどっさり入っていて、私の昼食の定番です。健康づくりの優等生とは言い難いんですよね…。
会社でもトランポリンで気分転換
少し前まではドコモ・ヘルスケアさんと一緒に開発した、歩いた分だけNTTドコモのポイントがもらえるスマートフォン向けアプリ「歩いておトク」を利用して頑張って歩いていたのですが、忙しくなって歩く時間がなくなり、中断しています。運動靴は常に会社に用意してあるので、また余裕ができたら再開したいですね。
中学、高校は水泳部で、いわゆるスポ根的にやっていました。だから運動はわりと好き。今はいかんせん時間がないので、手軽な道具を使って少しでも体を動かしています。
会社の私の部屋にはいくつか運動器具が置いてあるんですよ。トランポリンはその1つ。ミーティングの間など時間があるときに、気分転換がてらポーン、ポーンと飛んでいます。5分、10分くらいでしょうか。結構な運動になります。
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会社の南場会長のお部屋に置いてあるトランポリン。「ミーティングの間など時間があるときに、気分転換がてらポーン、ポーンと飛んでいます」(南場さん)
また、肩が前に出たり、猫背になったりしないように、気がついたときにゴムバンドを使って肩甲骨周りを動かすこともしています。
ベランダのお風呂で読書を満喫
今は土日も仕事が入ってしまうことが多いですね。この週末は久しぶりに休みだったので、湯船に浸かりながら読書にふけりました。いつも本が読み終わるまで入っているので、2時間くらいの入浴でも平気です。
私にとって、これが一番リラックスできる時間。より満喫するためにベランダにお風呂を作ったほどです。夏はゆでダコのようになってしまうこともあるのですが、特に冬は外の空気が冷んやりしていて頭がぼーっとせず、長く入っていられるのでいいんです。
風を感じたり、鳥の声や虫の声が聞こえてきたり、季節の移り変わりが感じられるのもいい。主人がそういうことを口にするようになったせいでもありますが、自然に対する感謝みたいな気持ちが湧いてきたのも変化の1つです。
いつもお風呂で読むのは、歴史物などビジネスに関係のない本ばかりです。昨日読んだのは、朝井まかてさんという作家が書いた『眩(くらら)』。浮世絵師の葛飾北斎の娘の話です。この主人公がとても魅力的で、当時の大衆文化や芸術家の生活様式などがよく分かって、面白かった。思わずだんなにも薦めてしまったくらい、とてもいい本でした。
(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:菊池一郎)
南場智子(なんば ともこ)さん
ディー・エヌ・エー取締役会長

1986年、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。1990年、ハーバード・ビジネス・スクールにてMBAを取得し、1996年、マッキンゼーでパートナー(役員)に就任。1999年に同社を退社して株式会社ディー・エヌ・エーを設立、代表取締役社長に就任。2011年に代表取締役社長を退任。2015年6月、取締役会長に就任(現任)。
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