考え方を変えてプレッシャーに打ち勝つ

 もともとが負けず嫌いなんです。何か人から言われたり、できそうもないと言われたりすることでも、それを乗り越えようという気持ちになるんです。難しければ難しいほど、それをエネルギーに換えているのかもしれませんね。発想の転換というか、考え方を変えてしまえば、ストレスやプレッシャーには十分に打ち勝てると思うんです。

 精神的タフネスは、卓球を通して身に付けたんだと思います。経験値を積んでいけば、人は強くなれます。特に25歳のときにそれまで勤めていた会社を辞めて、プロ選手になると宣言した経験は大きかった。「人生は1度しかないからやりたいことやろう」と吹っ切れたように思います。以来、何かにチャレンジすることに躊躇(ちゅうちょ)がなくなりました。

 気分転換のスポーツとしては、ゴルフが好きです。もっとも最近はあまりプレーできていませんが。

 また気心の知れた、利害関係のない友達と会うことでストレスを発散しています。愚痴を言いたときもあれば、ふざけたいときだってあります。そんなとき、古くからの友人がすごく助けになっています。友人との会話が心と体の健康とバランスを保つ糧になっていることは確かです。

卓球の新リーグがいよいよ開幕

 Tリーグがモデルにしているドイツ卓球リーグのトップ選手の多くは、企業と年間契約を結んでプレーしています。一年一年が真剣勝負で、うまく行くも行かないも、自分次第です。Tリーグはそうしたプロ選手も活躍できる、プロ・アマの混合リーグです。ラケット1本で生活できる仕組みを整えることは、日本の卓球界のためだと考えています。

 Tリーグの開幕は10月。男子が24日で、女子が25日です。会場はどちらも両国国技館になります。全ての卓球少年・少女たちに夢を与え、社会に貢献していきます。

(まとめ:松尾直俊=フィットネスライター/インタビュー写真:村田わかな)

[ 日経Gooday 2018年8月30日付の記事を転載]

松下浩二(まつした こうじ)さん
Tリーグ チェアマン
松下浩二(まつした こうじ)さん 1967年愛知県出身。小学校3年生のときに卓球を始める。明治大学在学中の87年に全日本選手権ダブルスで初優勝。卒業後、協和発酵キリンに入社し1992年のバルセロナ五輪出場。93年にプロ宣言し、日産自動車と契約。同年の全日本選手権男子シングルで優勝。95年、日本選手権男子シングルで優勝。96年のアトランタ五輪ではシングルでベスト16、ダブルスでベスト8に進出。97年に世界選手権マンチェスター大会ダブルスで3位に。同年に日本人として初めてドイツの卓球リーグ「ブンデスリーガー」に活躍の場を移す。2000~01年シーズンに日本人で初めてフランス卓球リーグの選手となる。01年と02年全日本選手権シングル連続優勝。04年にアテネ五輪で4度目の五輪出場を果たした。09年1月の全日本選手権を最後に現役引退。10年に卓球用品総合メーカー、ヤマト卓球(現ヴィクタス)の社長に就任。17年にTリーグ設立のために社長の座を退き、チェアマンに就任。