“測る”を起点に医療費が1割減少

 1年くらい経過して、何げなく社員たちのデータを眺めていたら、歩数は増え、体脂肪率も減っていることに気がつきました。ふと「医療費が下がっているのではないか」と思い、分析すると昨年度と較べて1人当たりの医療費が1割ほど減少していたのです。

 この結果は驚きで、計測機器メーカーにいながら、改めて「測る」ことの効果を実感しました。初めは商品の改良をしたくて機器を配っただけ。社員には「測れ」とは指示しましたけど、それ以上のことは何も言っていません。きっと毎日計測して数値を目の当たりにするうちに、意識や行動が変わっていったのでしょう。結果が出てくれば楽しくなってきますからね。

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 データは現在も取り続けていていますが、持続するにはやはり努力や工夫が必要です。今は毎月、歩数の多かった人のランキングを社内に貼り出したり、表彰して金一封を渡したりしています。社員同士で競い合う環境をつくることは効果的なようです。今やタニタにおいてメタボ社員は肩身の狭い思いをしています。

取材を終えて

 今回、何より測ることの効果を実感した取材でした。測ることが習慣になり、成果が出てくると確かに楽しいもの。家計簿やマラソンのタイムなどと似ているかもしれません。

 ちなみにこの日、谷田社長は活動量計など4つの自社商品を身に着けていました。取材のためではなく、普段からこのスタイルなのだとか。6年ほど前に取材した折も、確かに今回と同じように首からいくつもぶら下げていましたから、本当にそうなのでしょう。

 いわく「当社のメーン商品である体組成計を本当は背負いたい。『ランドセルみたいなのを作ってよ』と言っているのだが、『それだけはやめてください』と社員から止められている」そうです。(荻)

(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子)

谷田千里(たにだ せんり)さん
タニタ社長
谷田千里(たにだ せんり)さん 1972年生まれ。93年調理師専門学校卒業後、95年佐賀短期大学(現・西九州大学短期大学部)食物栄養学科から佐賀大学理工学部へ編入。97年、同大を卒業。98年船井総合研究所などを経て、2001年タニタ入社。05年タニタアメリカ取締役、08年5月に社長就任。調理師と栄養士の免許を持つ。