週1回のゴルフ、クラブ持って走り回る

 そんなリズムで生活をしてるものですから、日常は体を動かす機会がそれほど多くないんです。もうかなり昔のことですが、高校時代はアメリカンフットボールの練習のおかげでかなり運動をしていました。しかし、大学、そして社会人となってからは、テニスとゴルフ以外は意識して体を鍛える、健康のために体を動かすということは全くなくなりましたね。

 今、定期的にしているのは、週1回のゴルフとジムでのストレッチです。ゴルフのほうは、古いゴルフ場なものですから、コースに出てもカートはない。昔は、うるさいじじいが多くて、「歩くな! クラブを3本だけ持って、打ったら走れ!」と言われていたんです(笑)。今でもそれが身に付いてしまっているものですから、打ったらすぐにせかせかと歩いてボールに行く、すごくせっかちなゴルフなんです。どこかの大学の体育会ゴルフ部は、打ったらフルセット入ったバッグを担いで走らされるそうで、そこまでは行かないまでも、早足で歩く分、かなりの運動になっているのだと思います。

 ストレッチは大手スポーツジムから独立した、パーソナルトレーナーにみてもらっています。ある程度年齢が高くなってくると、筋肉に大きな負荷をかけるとけがの危険性があります。でもストレッチは、負担なく筋肉の柔軟性を保つことができますからいいですね。疲れの抜けが早くなりますよ。ですから、日曜日にゴルフをやりますので、ストレッチは月曜の朝か、海外出張から帰ってきた翌日にスケジュールに入れるようにしています。

 ストレッチの何が良いのかとトレーナーに聞いたんですが、股関節の柔軟性が増すことだと言っていました。体のバランスや便通や排尿、血液の循環などは股関節が重要になってくるということなんです。確かに海外出張から飛行機に12時間くらい乗って帰ってくとか、国内でも新幹線での長時間移動が多かったり、原稿執筆で長く座っていたりすると、股関節が固まるのを感じるんです。その時にほぐすと気持ちがいいですね。

 ある週は、日曜日に出張で浜松に行って火曜日に名古屋、木曜日に九州、それで土曜日に音楽バンドのライブ活動に参加して、そして日曜日にゴルフ…。そんなことやってると、さすがに疲れた感じがしました。それで、月曜日にストレッチに行くと、トレーナーが「あれ、左腕が張っていますね。原稿書きでキーボードをたくさん打ちましたか」と。「いやいや、バンドのライブでベースを弾いたんです」と(笑)。長年、診てもらっていると、分かるんですね、体の変化が。

 でも、それだけでは少々足りない。そこでです。オフィスには、豆を挽いてから抽出されて出てくるコーヒーのサーバーがあるんですが、コーヒーが出てくるまでの間に、スクワットをやると20回できるんです。それが1日に数回ですね。

 それから、朝、歯を磨く時間も重要です。左右1分間ずつ、片足立ちして磨くんです。これが最初のうちは案外とできない。今ではピタッと止まって磨くことができるようになりました。コーヒーがカップに満たされるまでのスクワット、片足立ちの歯磨きが下半身の大きな筋肉と体幹部の筋肉を鍛えることに貢献しているはずです、多分。

(まとめ:松尾直俊=フィットネスライター/インタビュー写真:村田わかな)

[ 日経Gooday 2018年12月27日付の記事を転載]

米倉誠一郎(よねくら せいいちろう)さん
法政大学教授
米倉誠一郎(よねくら せいいちろう)さん 1953年東京生まれ。一橋大学社会学部、経済学部卒業。同大学大学院社会学研究修士課程修了。一橋大学商学部附属産業経営研究施設助手に着任後、ハーバード大学大学院に留学。同大学歴史博士号取得(Ph.D)。1995年に一橋大学商学部産業経営研究所教授着任。97年より同大学イノベーション研究センター教授。2012~14年はプレトリア大学GIBS日本研究センター所長を兼務。そのほか、一橋大学イノベーション研究センター特任教授や法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授、アカデミーヒルズ日本元気塾塾長など、数々の役職を兼務中。イノベーションを核とした企業の経営戦略と史的研究を専門として、関連する著作も多数。近著に『イノベーターたちの日本史 近代日本の創造的対応』(東洋経済新報社)、ミネルヴァ日本評伝選『松下幸之助 きみならできる、必ずできる』(ミネルヴァ書房)などがある。
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