「この2年で、うちよりも先行しているのがロケットラボです。今回も出展してますよね。ごらんになりました? 彼らはアメリカの会社ですけど、打ち上げの拠点はニュージーランドです。150kgのペイロードを低軌道に打ち上げられるスペックですね。彼ら、ちょっと前までは、110kgって言ってたんですけど上げてきました。僕たちも2年前、50kgと言っていたんですけど、やっぱり100kgは必要と感じて、上方修正しました」

 ロケットラボは、ニュージーランド政府が宇宙機関を作るきっかけをあたえた企業だ。開発しているロケットエンジンの名前は「ラザフォード(人名)」。そして、ロケットの名前は「エレクトロン(電子)」。

エレクトロンロケットの2段め

 ラザフォードはニュージーランドを代表する物理学者で、20世紀の初頭、原子の内部構造の研究で第一線に立っていた。原子内の中心の電荷(後に原子核と呼ばれるようになる)のまわりを電子が飛び交うようなモデルを提唱したので、それにちなんで、「ラザフォード」「エレクトロン」と命名されたと聞いた。

 彼らは、今年(2017年)5月、実験機の打ち上げを行い、地球周回軌道には至らなかったものの、高度100km以上の宇宙空間には到達した。その点でISTに先行していると評価されている。

 さらに、今回は出展していないものの米国アリゾナ州に拠点を置くベクター・スペース・システムズも同業他社だ。創業は2016年で、むしろISTの方が先行している。ただし、20世紀から自分たちでロケット打ち上げを行ってきたグループが源流にあり、その経験値はあなどれない。

「問題はスピード感があるか否かです」

 さらにぼくも聞いたテクニカル・プログラムに登壇した「同業他社」もいる。彼らの多くは、地上からの打ち上げではなく、航空機などである程度の高度を稼いでからエアローンチ(空中打ち上げ)する方式を採用していていた。特に、リチャード・ブランソンのヴァージン・グループの「ヴァージン・オービット」は、ジャンボジェット機ボーイング747を改造して使う計画で、一段、実現に近い立場にいた。

 「スピード感が大事なんですよ。需要がたくさんあるのは分かっているわけですから、適切なタイミングでサービスを提供できなければ。僕たちも、これからが正念場なんです」と金井さん。

 では、スピード感をもってサービスを提供できたとして、需要の方はどうなっているのか。
 それも多くのプレイヤーが集まるこの場で確かめておくべきことだ。

 「小型の人工衛星のコンステレーション計画はますます増えていて、いわゆるメガコンステレーションといわれるものも含めて今後10年間で、2万機以上に打ち上げ需要があるとされているんです」

 金井さんが、まず名を挙げたのは、米国バージニア州に本拠を置く「ワンウェブ」だ。日本のソフトバンクが10億ドル出資したことでもニュースになったから、そちらで名前をご存知の方もいるだろう(関連記事:「ネット人口倍増へ、孫正義氏衛星に1400億投資」)。

 150kgほどの人工衛星を700機から1000機も低軌道にあげ、高速ネットサービスを提供する。2018年から実際に人工衛星を上げ始めることになっており、1週間に15個、人工衛星を作ることができる工場がすでに稼働しているという。また、米当局であるFCC(連邦通信委員会)もこの計画に認可を出した。