「2006年から液体酸素・炭化水素系の液体ロケットエンジンを開発しているグループで、起業家、作家、アーティスト、エンジニアからなる、『なつのロケット団』()に由来しています。日本の北の島である北海道の大樹町に本社と打ち上げ場があり、100kgのペイロードをSSO(太陽同期軌道)、LEO(低軌道)に打ち上げるのを目標にしています。マイクロサテライト、ナノサテライトがこれから多く打ち上げられますが、大きなロケットにシェアして乗せてもらうばかりでよいのでしょうか。小さな人工衛星が思いのままの日程で、思いのままの軌道に投入でき、なおかつ低価格であるということが要求されているのではないでしょうか」

 というような内容のことを力強く語りかけた(実際はすべて英語)。

(※編注:グループ名の由来は『なつのロケット』あさりよしとお作。関連記事:「ホリエ流ロケットビジネスの勝算」、「“メーヴェ”は35年ぶりの「民間ジェット機」」。なお、あさり氏は、『なつのロケット』は川端裕人さんの小説『夏のロケット』に刺激を受けて描いた、としています)

 金井さんによれば、ISTのロードマップとして、まず20kgのペイロードを100km以上の準軌道に到達させる。これは本格的な軌道投入へのステップだが、これ自体、微小重力実験や高層大気の観測、さらには広告目的に使うことができると強調した。

 そして、軌道投入能力を持ったロケット、いわば「MOMO後継機」は、100kgのペイロードを太陽同期軌道に投入できる設計だ。想定ユーザー(超小型人工衛星を打ち上げたい事業者など)が「主役」として時期と軌道を決められる柔軟さがウリである。

 プレゼン後の質疑応答では、「あなたたちは自分のローンチサイトを持っているのか」という質問が出た。

 北海道の大樹町に独自の打ち上げ設備を持っているISTは、国の宇宙機関の宇宙センターから打ち上げるよりも自由度が高いのではないかと思われたようで、そういった点もセールスポイントとなり得るようだった。

ISTが宇宙会議に出席する理由

 プレゼンが終わった後、金井さんに時間を取っていただき、お話をうかがった。

 まずは日本の企業であるISTが、このような宇宙会議に出席する意義というのはどのあたりにあるのか。

 「2つありますね。ひとつは、僕たちが想定するカスタマーは日本国内というより、世界なので、うちの存在をまずは知ってもらいたいんです。だから、2年前、イスラエルのエルサレムで行われたIACでも発表しているんですよ。それから、もうひとつは、やはり市場調査です。誰がどんなことをやっているのか、知っておく必要がある、と」

 金井さん自身は、2年前のエルサレムとあわせて2度目のIAC参加で、今回、強く感じたのは「ニュースペースがますます欠かせない存在になっている」ことだそうだ。国の宇宙機関からのトップダウンではなく、民間からボトムアップしていく時代になっており、だからこそプレイヤーも増えている。そこで、「日本にはこいつらがいる」と認知してもらうとともに、同業他社(小型ロケットを開発して打ち上げビジネスに参入しようとしているところ)、潜在的カスタマー(超小型人工衛星のコンステレーションを計画しているところ)、双方についての動向を確認しておく必要があるという。

 では、金井さんの目から見た「市場」はどうだろう。

 まずは同業他社。