なおインドのサティシュ・ダワン宇宙センターは、インド東岸にあり、将来的に有人宇宙飛行も見越した発射施設が建設中だという。もしも、有人宇宙飛行を成功させたなら、彼らは日本と欧州を飛び越して、「4番目の宇宙国」になったと主張するかもしれない。

 いずれにしても、異国情緒あふれる打ち上げ施設には興味津々なので、ソナリさんには「見学に行ったらいろいろ見せてくれますか?」と頼んでおいた。

 「いいですよ。わたしが案内します」と即答してくれたものの、IACが終わってからメールをしても今のところ返信はない(残念)。

 韓国のブースでは、主に人工衛星の展示。

 はじめて自国での人工衛星の軌道投入に成功したのは2013年なので、「宇宙クラブ」では新参だが、今後、2021年に初打ち上げ予定の本格的な宇宙ロケットKSLV-II(太陽同期軌道へ1.5トン程度の打ち上げ能力を想定)を待って、本格的な展開をしていくとのこと。

 今のところ韓国は、人工衛星打ち上げの際、よその国、よその企業のキャリアの顧客だ。

UAEは宇宙に「希望」を見ている

 同じくよその国、よその企業の顧客でありつつ、ぼくが鮮烈な印象をいだいたのは、UAEだ。

 2015年、宇宙機関ができたばかりで、今のところ、打ち上げ手段(ロケット)も、人工衛星を自前で作る能力もない。けれど、将来計画は巨大だ。

 3年前、UAEの宇宙機関が出来た時に職員だった最初の2人のうちの1人(つまり、ファウンダーだと本人は言っていた)、シェイカ・アルマスカリさんが話をしてくれた。

 「直接的なきっかけがありました。2010年から11年にかけてアラブ世界で混乱があって、UAEでも人々の心がバラバラになったんです。そこで、国民の心をひとつにするために、宇宙計画を進めていこうという考えになりました。

 具体的には建国50周年の2021年にむけて、アラブ諸国・イスラム諸国ではじめての火星探査機を飛ばします。Emirates Mars Mission、略してEMMです。

 サイエンスとしては、火星の上層大気からの酸素や水素の離脱の様子を観察すること。それと、火星大気の温度分布や、氷、水蒸気、塵の観測などですね。わたしたちは、観測装置も打ち上げ手段も外注です。それでも、わたしたちにとって、国民の希望を束ねるものなので、探査機をアル・アマル、“希望”と名付けました」

 なるほど。

 2010年12月にチュニジアではじまった「ジャスミン革命」を皮切りに、アラブ諸国で民主化を求める反政府デモなどか次々に連鎖し、いくつかの国では政権が打倒された。いわゆる「アラブの春」だ。UAEは、その影響をほとんど受けず、反政府デモなどもなかったと認識していたのだが、それでも国民の動揺は相当なものだったというのである。