そして、残りの2つは、低軌道の通信衛星だ。ナローバンドのマイクロサテライトのコンステレーション(コンステレーションについては前回参照)と、それよりは大きな人工衛星(実際の重量は聞けなかったが、文脈からいえば100~200kgクラスと思われる。従来の分類では小型人工衛星)でのブロードバンドのコンステレーションというふうに棲み分けている。

 以上、「五大計画」について聞いた。中国は、宇宙の商業的な利用に強い関心を持っていることをアピールしてやまない。

 これまで、ぼくは、宇宙ステーション、有人月探査、火星探査といった科学調査系のことばかりに惹きつけられていたが、「ニュースペースもオールドスペースも区別がない」中国は、ニュースペース分野でも多分に「国の意向を汲んだ“民間”」が主導しているというふうに見えた。

インドはアジア初、衛星の火星周回に成功

 中国のブースと通路を挟んだ向かい側には、インドの宇宙機関の展示があった。

フレンドリー感が漂うインドのブース。モックアップが金ピカ!

 時々、ごにょごにょと話を濁す謎めいた中国と違い、インドは印象がオープンだ。宇宙機関ISROと表裏一体の国営企業、ANTRIX社のソナリさんがていねいに解説してくれた。

 だいたいぼくの最初の質問がひどいもので、「インドの宇宙開発って、世界的にいったいどれくらいの位置にあるんですか」だった。本当に、我ながらいい加減な質問だが、回答は端的で、「6番目の宇宙国」だった。アメリカ、ロシア、中国、欧州、日本、そしてインド、である、と。

 1970年代にはじめて人工衛星を打ち上げて以来の歴史も十分に長い。現在運用されている輸送システムとしては、PSLV (低軌道・太陽同期軌道打ち上げ用で、低軌道に3.25トン)と、GSLV (静止軌道打ち上げロケット。静止トランスファ軌道に2.4トン)があり、前者は信頼性も高い。日本のH2A、H2Bと比較するとスペック的にはかなり見劣りしても、コストなどとの兼合いから、先行して商業衛星の打ち上げを請け負ってきた。

 そして、インドは、惑星探査の分野で「アジア初」の快挙を成し遂げた国でもある。2013年にPSLVロケットで打ち上げられた火星周回探査機マーズ・オービター・ミッション(MOM)は、2014年に火星周回軌道に乗り、インドはアジアで初めて探査機を火星の軌道に投入した国になった(※)。

※日本が1998年に打ち上げ、火星周回軌道への投入をめざした「のぞみ」は、最終的には軌道投入を諦めざるを得なくなったため、「アジア初」の冠を逃した。そのあまりに劇的な運用の一切合切は、松浦晋也氏の『恐るべき旅路―火星探査機「のぞみ」のたどった12年』に詳しい。

 「わたしの意見では、火星ミッションは、インドの宇宙教育にとても大きなインパクトを与えました。次世代の人材が10年後、20年後に出てきます。ですので、2020年代、30年代、インドの宇宙開発は伸びますよ」と、ソナリさんは自信ありげに微笑むのだった。

 インドの火星周回機は、日本の「はやぶさ」のようなインパクトを持ったらしい。