いまだにネットの恩恵を受けていない地域、特に赤道に近いアジア、アフリカ、ラテンアメリカの人々のために、ボイスメールやテキストメールを提供することを目的にしているため、ブロードバンドではなくナローバンドでよしとする。光学観測衛星のような重たい光学系が必要ないし、いわゆるCubeSatの3Uサイズで(1Uは10×10×10 cm。したがって3Uは30×10×10 cmサイズ)、実に3.1キログラムを実現している。おまけに、少しの軌道変更なら自分で出来てしまう推進系までついているというのである。

 CEOのメイア・モーラム(Meir Moalem)が直々に、熱く語ってくれた。

SASのメイア・モーラムCEO

 「2020年までに、赤道面近い低軌道に200機、我々のナノサテライト“3Diamonds”を投入をしたいね。すでに今年(2017年)6月に、インドのロケットに相乗り(ピギーバック)して、3機を投入しているよ」

 これまで多く使われてきた通信衛星は、地上3万6000キロメートル上空の静止衛星軌道に置かれることが多かった。しかし、近年の流れでは、せいぜい数百キロくらいまでの低軌道が注目されている。衛星が小型ですむだけでなく、通信の遅延も小さくできる。同時にカバーできるエリアはもちろん狭まるが、その分、数で勝負、ということになる。

 「地上から見ると、衛星が次々と空を通り過ぎることになるから、衛星間の通信も行って途切れないようにする。最初に3機まとめて打ち上げた理由のひとつは、衛星同士がうまく協調できるか調べるためだ。結果、うまくいっているし、すでに南アフリカや南米の通信企業とも契約を結んだ──」

 メイアは、今、博士号取得のための研究もしている立場で、同時にビジネスマンだ。ニュースペースの現場には、若く、スピード感あふれる人が実に多い。

気分は「宇宙コミケ」。いつのまにか本当にパーティに

 さて、IACの初日の展示ホールは、各ブースに群がる人々の熱気で会場の上に雲ができるんじゃないかと思ったほどの盛況が続いた。その点、実にコミケのノリだ。そして、夕方になると、なんともいえない多幸感に会場が包まれた。

 冒頭に描いたウェルカムパーティは、知らない間に、初日の会場のざわめきをそのまま引き継いで、いつの間にか始まっていた。最初はなぜみんな、急にワイングラスを持って展示の解説をしているんだろう……と不思議に思っていたのだが、実際にはもうパーティモードになっていたのだった。

 ただし、アルコールか入っても、雰囲気ががらりと変わるわけでもない。この人たちは、昼間からパーティをしていたようなものだ。

 ワイングラスを傾け談笑する人たちの間を、火星探査ローバーのキュリオシティが、すーっと動いていく。

 不思議な日常がそのまま非日常に繋がったような空間。

 ぼくもワインをいただき、「宇宙酔い」の宴に参加して、大いに語り、話を聞いた。

 会議2日目以降のことは……明日起きてから考える方針で!