南オーストラリア産のシラーとメルローの赤ワイン。白はシャルドネ。

 そして、ビール派には、地元産のペールエール。

 巨大なホールのそこかしこで供されるアルコールと、肉、魚、ベジタリアンフードまでバラエティ豊富なメニューを、食べやすい一口サイズで皿に盛り、給仕するホールスタッフたち。

 参加者の服装は、正装にはほど遠いけれど、最低限、ジャケット着用くらいの身だしなみで、ざっくりと言って「形式張らないビジネスの立食パーティ」といった雰囲気だ。

 たぶん世界中のどこにいっても、こんな集いはある。

 ひとつだけ目につく大きな特徴は、ホールの展示だ。

ロッキード・マーティンの展示。赤いボールは火星。

 まず天井からぶら下がっているのは、人工衛星やら観測衛星やら、とにかくひと目で宇宙に飛ばすものだと分かるものの模型だ。

 軌道投入できるロケットの2段目がごろんと転がっている区画もある。

小型ロケットの2段目。ニュージーランドから打ち上げる「ロケットラボ」の「エレクトロン・ロケット」。

 ふとテーブルの上にワイングラスを置くと、大学の研究室が作った超小型衛星(いわゆる「CubeSat」=キューブサット)が並んでいた。

背景にあるのは、大学が作ったキューブサット。

 さらに、その向こう側には実物大の宇宙船コックピット。航空宇宙産業の最大手の一つボーイング社が、アメリカの次世代宇宙船として開発している「スターライナー」のモックアップだ。

 ふいに歓声があがり、軽自動車くらいの大きさの「車輌」がこっちに近づいてくる。今、現役で火星で稼働している探査ローバー・キュリオシティの実物大模型だ。独特の六輪システムは、代々の火星ローバーで採用されてきた伝統ある機構。誰かが無線で操作しているのだろうが、あたかも自律走行しているかのように見える。アームまでしっかり動くせいで、機械というよりも、むしろ昆虫のような印象を与える。

キュリオシティ。一緒に写っているのは昼間来ていた小中高校生。

 キュリオシティに群がって記念写真を撮る人々の中に、見知った顔があると思ったら……なんと宇宙飛行士!

 ここはそういう場所なのである。

 1950年から毎年開かれているIAC(International Astronautical Congress 国際宇宙会議)。第68回目になる今年の会場は、オーストラリアのアデレードだ。

 IACは世界最大の宇宙関連会議と自他ともに認める一大イベントで、今年は、84カ国、4500人が参加とアナウンスされていた。宇宙にかかわるすべてのステークホルダーが「代表(delegete)」を送り込む場、と言われており、つまり、ここにいるのは、なんらかの形で宇宙と密接にかかわる人たちだ。

 同じ「宇宙」を目指す人々、という連帯感が醸すのだろうか。初日夕方のウェルカムパーティは、“宇宙的多幸感”とでもいうのか、独特の暖かな雰囲気に包まれた。

 耳をそばだてたり、隣の人に話しかけるだけで、濃厚な宇宙へのつながりを感じられる。