テレマティクス保険、運転挙動データから保険料を決定

 健康状態だけではない。安全運転をするドライバーは保険料もお得になる、テレマティクス自動車保険が登場する。

 テレマティクスとは自動車をネットワークにつなぎ、様々なサービスを可能にすること。自動車のスピード、ブレーキ、アクセル操作といった運転挙動データを、通信を経由して集め、分析結果に基づき、保険料を調整する。

 トヨタ自動車は2019年をめどに、日米中の三カ国で販売するほぼすべての乗用車に通信機能を標準搭載する方針を示している。車の通信環境が整備されれば、安全運転に応じて割安になる自動車保険の市場は急速に拡大するだろう。

 

 あいおいニッセイ同和損害保険は2018年に、運転挙動反映型テレマティクス自動車保険を発売する。毎月の運転挙動と現行の自動車保険における等級制度と組み合わせて保険料を設定する。年間2万km走ると最大で20パーセントほど保険料に差が付くことを想定している。

 損害保険ジャパン日本興亜も、運転診断結果に応じて保険料が最大20パーセント安くなる「安全運転割引」制度を2018年1月から提供する。同社のスマートフォン用カーナビアプリ「ポータブルスマイリングロード」で収集した走行データを分析し、安全運転の度合いを把握する。

 同アプリは運転診断機能も備えており、スマートフォンのセンサーから得たデータを基に、アクセル、ブレーキ、ハンドリング、エコの4項目で安全運転の度合いを評価する。

 前者は自動車から、後者はスマートフォンから、それぞれ運転挙動データを取得する。これとは別に、車の加速減速やコーナリングなどの運転挙動と事故発生の確率に関するデータを蓄積しており、両方のデータを分析することで保険料の割引率を決めていく。

 こうした取り組みに備え、あいおいニッセイ同和損保は2015年3月、テレマティクス保険大手である英ボックス・イノベーション・グループ(BIG)を買収済み。BIG傘下で保険事業を展開する英インシュア・ザ・ボックス(ITB)は、保険料が高くなる若年層に向けて、一定距離分の保険料を先払いするプリペイド型の自動車保険を販売している。スピード違反がなく急ブレーキも少ない安全な運転をしていると「ボーナスマイル」が付与され、先払い金額内で走れる距離が長くなる。

 

 2010年5月にこの保険を発売したITB は2017年までに累計で50万件程度の契約を獲得した。契約者の累計走行距離は50億kmを超えたという。これらの運転状況と事故のデータを蓄積し、運転挙動反映型保険の保険料を適切に設定するアルゴリズムの開発に役立てる。

スコアレンディング、SNSで与信枠を決定

 スコアレンディングは、顧客から受け取った様々なデータに基づき、与信枠や金利を決定する融資である。

 みずほ銀行とソフトバンクはスコアレンディングを展開する「J.Score(ジェイスコア)」を共同出資で設立した。2017年9月に、サービスを開始した。利用するデータは、以前からある個人の信用情報や家族構成などの属性に加えて、ソフトバンクとみずほ銀行のサービス利用状況、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、交流サイト)などでのインターネット利用や趣味、性格診断の結果などである。

 一連のビッグデータをAIで分析し、その人の思考や行動パターンに基づくスコアを算出する。スコアに応じて与信枠や金利が決まり、利用者は自身のスコアを確認できる。スマートフォンで簡単に利用できるサービスだ。

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