超小型器を心室に入れ、電気で直接刺激

 一方、徐脈性不整脈に対する最新デバイスが、洞不全症候群や房室ブロックなど重症不整脈患者の調律を補正する「リードレスペースメーカー」だ。カテーテル操作により右心室内に留置し、本体先端の電極から直接、ペーシング(電気刺激による拍動の調整)をする。

図 リードレスペースメーカーの留置例
鼠径部の大腿静脈からカテーテルを用いて右心室に入れ、心尖部に近い心室中隔部に直接留置する(提供:日本メドトロニック)

 2017年2月、我が国でも米メドトロニックのリードレスペースメーカー「マイクラ(Micra)」が承認された。マイクラは欧州で2015年4月、米国で2016年4月、それぞれ承認されている。

 マイクラは直径6.7mm、長さ25.9mm、容積1mL、重さ1.75gで、大きさは現在のペースメーカーの約10分の1。専用のデリバリー用カテーテルで鼠径部から大腿静脈に挿入して右心室まで運び、心尖部に近い心室中隔部に固定する。先端の陰極と本体後部の黒いリング状の陽極間に電位差を発生させて、ペーシングする仕組みだ。

 本体を心筋に確実に固定するために、本体先端にタインと呼ばれる形状記憶合金が使われている。マイクラの電池寿命は平均12.5年と長いが、心房と心室の両方にリードを入れる必要がある疾患には適用とならないなどの制限がある。そのため、国内のペースメーカーの植え込み件数年間約6万件のち、リードレスに置き換わるのは数パーセント程度とみられている。

 ただし、両心室へのペーシングが可能な新たなデバイスが開発されつつあり、将来的にはリードレスが主流になるとみられている。マイクラはリードレスペースメーカーとしては二番手で、世界で初めて実用化したのは米アボットである(製品名「Nanostim」)。欧州で2013年10月に承認された。我が国でも治験が行われているが承認申請には至っていない。

植え込み型補助人工心臓で長生きが可能に

 拡張型や拘束型の心筋症など、薬物療法やCRTが奏功しない重症心不全の患者を救うために、ポンプを体内に埋設する「植え込み型補助人工心臓」が登場している。補助人工心臓は血液を送り出す遠心ポンプやポンプを心臓につなぐ人工血管、駆動装置などからなる。