PBの刷新から手を着けた理由

 状況の打破には、ブランドの再生が喫緊の経営課題と松本氏は捉えた。「『マツキヨらしさ』、つまりブランド戦略が次代の勝敗を分けると考えた」のがその理由だ。ブランド再生プロジェクトではまず、PBのリブランディングから手を着けた。「小売り業全体が同質化する中、ドラッグストアとしての専門性と独自性を発揮する必要」(松本氏)があると認識。マツキヨでしか買えないブランド力の高いPBは、競合との差異化の強力な武器になると考えたからだ。

 また、最初から店舗の刷新などに取り掛かっては、大きなコストを伴う。PBのリブランディングに携わった営業統括本部営業企画部の乙幡満男ブランドストラテジストは「顧客が最も見ているのは商品。既にある商品のデザイン刷新であれば手を着けやすく、なおかつオリジナル商品をそろえることでブランド価値の向上につながる」と話す。

 マツキヨHDは以前から「MK CUSTOMER」というブランドでPBを展開していたものの、「その多くの商品は、NB商品に似せたデザインで価格勝負をするもので、マツキヨらしさを体現したものではなかった」(乙幡氏)。デザインの統一性がなく、PBブランドの知名度は低迷し、認知度調査ではわずか7%にとどまった。さらに購入者からはSNS上で「マツキヨで買ったパクり品」などと揶揄されることも少なくなかった。

 このPBを生まれ変わらせ、マツキヨを強いブランドへと生まれ変わらせるべく取り組みは始まった。パートナーにはブランドコンサル会社のインターブランドジャパンを迎えた。「20年前のマツキヨは面白いことに臆することなく挑戦するブランドと思われていた。もう一度、楽しくてわくわくするブランドになることを目指す手伝いがしたいと考えた」と同社CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)のウィリアム・ヴォドゥシェッグ氏は言う。

 マツキヨのPBのリブランディングプロジェクトはこうして幕を開けた。PBを刷新したことで、爆発的に売れる商品が多数現れている。一方で、逆に売り上げが落ちる失敗例もある。連載2回目はそうした実例を紹介する。

(写真提供/マツモトキヨシホールディングス)

[日経クロストレンド 2018年8月16日付の記事を転載]