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2016年度に売上高で22年ぶりに首位から陥落したマツモトキヨシホールディングス。ユニークな広告宣伝活動や店舗設計で“指名来店”を誘ったドラッグストアの雄は、岐路に立たされている。創業家で常務取締役を務める松本貴志氏の号令の下、もう一度、強みである「楽しさ」「驚き」「斬新さ」のあるブランドへの回帰に乗り出した。1兆円企業を目指し、反転攻勢にのろしを上げたマツキヨからブランド再生術を学ぶ。

マツモトキヨシホールディングスはブランドの再生に向けて、PBのリブランディングを進める

 17年から18年にかけて、世界的に権威のある広告やデザインのコンテストで賞を総なめにしている日本のブランドがある。マツモトキヨシホールディングス(HD)が手掛けるPB(プライベートブランド)「matsukiyo」だ。

 matsukiyoから発売されたトイレットペーパーは、パッケージデザインコンテスト「ペントアワード2017」のボディ部門でプラチナ賞、広告コンテスト「クリオ賞」のパッケージ部門で銀賞、デザインと広告のコンテスト「D&AD 2018」で最高賞の「イエローペンシル」などを相次ぎ受賞した。

 このトイレットペーパーのパッケージには一面に大きくラジカセや赤ちゃん、果物や野菜が詰まった買い物袋などが印刷されている。普段、トイレットペーパーは購入後に周囲の視線が気になるという点に目を付けて、気兼ねなく持ち運べることを狙ってデザインした。

 同商品は17年1月に「マツモトキヨシ 南青山店」でお披露目した。午後2時半から約200個を無料で配布するキャンペーンを実施したところ、わずか5分で在庫がなくなった。東京・青山という都会的な立地にもかかわらず、商品を手にした誰もが周囲の視線を気にすることなく持ち帰った。デザインの力で消費行動を大きく変えることに成功した点が評価され、受賞につながっている。

matsukiyoのトイレットペーパーは世界的なデザイン賞を相次ぎ受賞している

 ドラッグストアのPBが、世界的なデザインコンテストで賞を総なめにしていることを意外に感じる読者もいるだろうか。matsukiyoがこうした形で脚光を浴びることは、マツキヨが“マツキヨらしさ”を取り戻しつつあることを意味しているとも言える。マツキヨHDは、創業家で常務取締役の松本貴志氏の指揮の下、PBをリブランディングした。これが奏功し、PBは急成長している。リブランディングによって、10倍以上売れるようになった商品もある。マツキヨHDの売り上げ全体に占めるPBの比率は10.1%に達している。業界内では最も高い比率だという。