こうした対策はいずれも重要ではあるものの、共通の困難さを抱えている。それは、「何がフェイクニュースなのか」の合意が困難な点だ。トランプ氏がそうであるように、客観的な証拠を示しても、フェイクであることを相手が認めなければ、水掛け論になってしまう。

 では、他に対策はないのだろうか。内容面からのフェイクニュース特定は合意形成が困難であるなら、情報流通の在り方からアプローチするのはどうだろうか。

ウソが拡散しない対策必要

 SNSの「望ましい使い方」として、一人ひとりが善意から、あるいは単に面白いからと、反射的にリツイートしたり、シェアしたりしないことを提案したい。虚偽情報は誰かが発信しただけではフェイクニュースとはならない。拡散することでフェイクニュースとなる。ならば、情報共有における個人の「責任」についても認識と理解を深める必要がある。「シェアする前に少し立ち止まって考えよう」ということだ。

米ワシントンでは昨年12月、フェイクニュースを信じた犯人によるピザ店襲撃事件が起きた(写真=AP/アフロ)
米ワシントンでは昨年12月、フェイクニュースを信じた犯人によるピザ店襲撃事件が起きた(写真=AP/アフロ)

 もう一つは、ネット上の広告システムを再考すべきである。「ローマ法王、トランプ氏支持」という虚偽の情報を書き込んだのは、広告収入を目的としたマケドニアの少年たちだったという。フェイクニュースが流行する原因は、閲覧数が広告収入額に直結する現在のネット広告システムにもある。

 日本でも、「WELQ(ウェルク)」から火がついたキュレーションサイトの虚偽情報・著作権侵害事件が起きた。ボット(ネット上で情報を収集するプログラム)の巡回により表示回数を稼ぐアドフラウド(広告不正)やクリック数が多いフェイクニュースサイトに広告が掲載されるデメリットなど、現行のネット広告システムが直接、個人や企業に悪影響を与えている問題は多い。

 ネットは既に、日常の情報インフラとなっている。ならば、ネット事業者や広告代理店任せにせず、すべての企業・団体が積極的に広告システムの見直しに関わるべきではないか。

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