「ポストトゥルース(脱・真実)」という言葉も印象的だ。オックスフォード英語辞典によれば、「世論の形成において、感情や個人の信念に訴えかけるものより客観的な事実の影響力が少ない状況」という。いずれの言葉も、分断化する社会の象徴となった。

フェイクニュースへの関心は2016年の米大統領選で急激に高まった
グーグルトレンドにおける「fakenews」の検索数推移

 フェイクニュースという言葉が流行する中、その使われ方は暴走気味だ。トランプ氏は自らに不利な報道を「フェイクニュース」と一方的に断じて、マスメディアとの対立を深めている。一般の人でも、自分にとって都合の悪い情報の信憑性をおとしめるため、フェイクニュースをレッテル貼りに使うケースが増えている。

 フェイクニュースの対策は大別すると3つの方向性がある。第1に、フェイクニュースの拡散に「貢献」したと批判の矢面に立たされたネット事業者の対応である。例えば、米フェイスブックは2016年12月にユーザーが偽情報の通報を行いやすくすることや第三者機関が虚偽と認定した情報にそのことが分かるサインを出すことなどの対策を公表。米グーグルも17年4月に検索品質評価者ガイドラインの改善や検索アルゴリズムの変更などをフェイクニュース対策として発表した。

 第2に、ジャーナリズムや民間の取り組みとして、「ファクトチェック(事実確認)」がある。米国では政治家の発言やメディア報道などに関するファクトチェックは1990年代初めから行われている。2015年には「国際ファクトチェッキング・ネットワーク」も発足。フェイクニュース流行前からファクトチェックの動きは盛んとなっていた。

 17年4月にはニューヨーク市立大学ジャーナリズムスクールが「ニュース・インテグリティ・イニシアティブ」の設立を発表、ニュースリテラシーの向上や世界中のジャーナリズムの信頼性向上などを目指し、独立したプロジェクトとして調査研究や事業を推進するという。日本でも6月にメディア事業者やジャーナリスト、研究者らによって「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」が設立された。

 第3は法規制だ。ドイツ連邦議会は17年6月、フェイスブックやツイッターなどのSNS事業者に対して、ヘイトスピーチを中心に違法性が明確な書き込みを24時間以内に削除することを義務づけた。違反した場合、最大5000万ユーロ(約61億円)の罰金を科す。表現の自由を脅かす可能性がある法規制だが、9月の連邦議会選挙を前に厳格な対応を取ることになったのだ。

フェイクニュース対策は急務
●企業や政府などの対応
主体 主な対策
フェイスブック リンク先のプレビューの見出しや説明などを上書きできないようにする
グーグル グーグルニュースでファクトチェック(事実確認)結果の表示を導入
ドイツ政府 SNS企業に対しフェイクニュースの速やかな削除を義務付け、違反した場合最大5000万ユーロ(約61億円)の罰金を科す方針
ニューヨーク市立大学ジャーナリズムスクール ニュースリテラシーの向上や世界のジャーナリズムの信頼性向上を目指すファクトチェックプロジェクトを設立